乳製品メーカーは今なぜ「銅線」から「光ファイバー」に切り替えたのか?光ファイバーで「スマート酪農」に挑むYeo Valley【前編】

英国の乳製品メーカーYeo Valleyは光ファイバーによるネットワークを導入し、高速通信ができるインフラを築いた。これまで銅線の電話回線を使っていた同社が、ネットワークの置き換えを決めた背景は。

2021年10月13日 05時00分 公開
[Joe O’HalloranTechTarget]

関連キーワード

ADSL | ブロードバンド | 事例


 乳製品の製造を手掛けるYeo Marketing(「Yeo Valley」の名称で事業展開)はネットワークベンダーのTrueSpeed Communicationsと手を組み、光ファイバーによる高速ネットワークを構築した。農場の隅々までインターネットがつながる環境を整え、高速通信を武器にビジネスの改善や拡大を図る。

なぜ今「光ファイバー」化なのか

 英国酪農大手のYeo Valleyは、ヨーグルトやバター、チーズといった有機加工物の乳製品を作り、主にオンラインで販売している。英国南西部サマセットに拠点を置き、2つの農場を経営する他、ブリティッシュフリーシアン種の牛を飼育している。

 Yeo Valleyはもともと、銅線の電話回線をネットワークインフラとして使用していた。だが信頼性が低く、通信の速度も遅いことを課題にしていた。今回、光ファイバーのネットワークを導入することで信頼性を高めるとともに、250Mbpsの通信速度を実現した。同社は新しいネットワークを使い、農場や本社ビルなど6カ所で高速なインターネット接続を可能にし、WAN(ワイドエリアネットワーク)として運用管理している。

 IT活用に積極的な姿勢を見せているYeo Valleyにとって、ネットワークの高速化は急務だった。例えば同社は乳製品の製造現場にカメラを設置し、流れに異変がないかどうかを遠隔から監視。テレビ会議も活用し、社内コミュニケーションを密にしている。データのバックアップも日課だ。それらの取り組みを円滑に進める上で、通信速度の速いネットワークが鍵を握る。

 新しいネットワークを活用する場は「社内」に限らない。Yeo Valleyは農場の一部を見学者向けに公開し、隣接しているカフェも運営。ここでも新しいネットワークを利用してカフェの利用者が快適にインターネット接続できるようにしている。


 後編は、Yeo Valleyが新しいネットワークの活用を今後、どう広げようとしているかを紹介する。

Computer Weekly発 世界に学ぶIT導入・活用術

米国TechTargetが運営する英国Computer Weeklyの豊富な記事の中から、海外企業のIT製品導入事例や業種別のIT活用トレンドを厳選してお届けします。

ITmedia マーケティング新着記事

news053.jpg

フォルクスワーゲンがGoogleとタッグ 生成AI「Gemini」搭載で、何ができる?
Volkswagen of AmericaはGoogleと提携し、Googleの生成AI機能を専用アプリ「myVW」に導入...

news175.jpg

JAROに寄せられた「広告への苦情」は50年分でどれくらい? 業種別、媒体別の傾向は?
設立50周年を迎えた日本広告審査機構(JARO)が、これまでに寄せられた苦情を取りまとめ...

news085.jpg

データサイエンティストの認知率は米国6割、インド8割 さて、日本は?
データサイエンティスト協会は、日本と米国、インド、ドイツの4カ国で、データサイエンテ...