2022年01月25日 08時00分 公開
特集/連載

2022年にマネジャーが注目すべきソフトウェア開発3大トレンド生産性が大きく変わる

ソフトウェア開発チームを率いるマネジャーは、本稿が紹介する3つのトレンドを無視することは許されない。2022年はこのトレンドを実装できたかどうかで生産性に大差が生じるだろう。

[Junade Ali,Computer Weekly]

 ここ1年、ソフトウェア開発分野の変化を詳しく調べてきた。数十社のエンジニアリング部門責任者に話を聞き、最新文献を調べ、世論調査を実施した。その結果導き出したのが以下の3つの重要なトレンドだ。

開発環境のクラウド移行

 ローカルPCに開発環境を構築するのには時間がかかる。2週間以上要することも珍しくない。プロジェクトが複雑になるほどこのプロセスは難しくなる。

 企業はドキュメントとツールを使ってこの問題を解決しようとしてきた。だが完全に成功したとは言い難い。開発者間で、ハードウェアやOSだけでなくコードエディタでさえ意見が食い違う可能性がある。

iStock.com/metamorworks

 ソフトウェア開発ライフサイクルの中で、ローカル開発環境を使う要素は減少しつつある。自動ビルド、ステージング環境、実稼働アプリケーションの運用の大部分はローカルPCからクラウドに移った。

 そしてコーディングもクラウド化が進んでいる。

 MicrosoftもAmazon Web Services(AWS)もこの課題に取り組んでいる。Microsoftは「GitHub Codespaces」を一般公開した。GitHub CodespacesはWebブラウザでアクセスできる完全な開発環境だ。「GitHub」にコードを保管しているチームは、Webブラウザで「Visual Studio Code」の全機能を利用できる。

 AWSは独自のソリューション「AWS Cloud9」を用意している。これにより、コードをクラウドで編集、実行できる。

 この問題に着目したスタートアップ企業もある。2021年4月、Gitpod(訳注)はソフトウェア開発をクラウドに移すソリューション用に1300万ドル(約15億円)を調達したと発表している。

訳注:Gitpodは「OpenVSCode Server」も開発している。「Webブラウザで使えるVisual Studio Code『OpenVSCode Server』」参照。

 2022年、こうした技術の採用が増えるのは間違いない。

より科学的になるDevOps

 GoogleのDORA(DevOps Research and Assessment)チームは、IT部門のパフォーマンスを成果に結び付ける調査を行った。それによると、高いパフォーマンスを発揮するエンジニアリング部門を有する企業は、目標を達成し、3年間で成長率50%以上を実現する可能性が2倍高いという。

 2021年にGoogleのDORAチームおよびPuppetが実施したベンチマークは、どちらもソフトウェア開発業界の競争が激化していることを示している。高パフォーマンスのエンジニアリングチームが増えているのに対し、低パフォーマンスのチームの割合は減少している。HaystackAnalyticsとSurvationが共同で行った世論調査では、依頼を受けた当日に新機能を提供できると答えたソフトウェア開発者が40%もいた。

 開発者が燃え尽き症候群(訳注)に陥ることなく新機能を迅速かつ確実に提供するには、ソフトウェア開発チームのプロセスやツールを可能な限り洗練しなければならない。Netflixには専任のDeveloper Productivity(開発者生産性)チームがあり、GoogleはEngProd(Engineering Productivity:エンジニアリング生産性)職に多くのエンジニアを雇用している。

訳注:「チームリーダー必読 エンジニアの燃え尽き症候群を防ぐ方法」も参照

なくならないテレワーク

 テレワークが増えたことで、ここまで述べてきた多くのことが加速したのは間違いない。

 GitHubの「2021 State of the Octoverse」レポートによると、回答企業の41%がパンデミック前はオフィスに同居していたが、パンデミック後にオフィスに戻ると回答したのは10.7%にすぎなかった。

 スタッフの一部がフルタイムでテレワークを行い、一部がオフィスに出社するハイブリッドな働き方になる割合が41%増加すると想定していることも分かった。フルタイムのテレワークを採用する企業は、パンデミック以前よりも46%増加すると予想される。

 HaystackAnalyticsとSurvationの世論調査では、パンデミック中に燃え尽き症候群の程度が増したソフトウェア開発者は同僚との接触がなくなったこと(30%)、自宅で仕事をしなければならなかったこと(27%)を原因として挙げている。

 2022年以降は、同僚とオンラインで共同作業するだけでなく、オフラインでもつながる新たな方法が見つかると考えるのが合理的だろう。

 テレワークが恒常化するにつれ、テレワークとオフィスワークの長所を維持するために、対面での接触がなくなることで失われたことを実現する別の方法を見つけ出すことを期待できる。

 開発者の世界は今後1年間、確実に進化し続ける。パンデミックが明らかにしたように、将来は保証されていない。だが、本稿で紹介した3つのトレンドが開発者コミュニティーに影響を与えると考えている。この3つのトレンドは開発者の生産性と精神的健康に新たな進化をもたらし、ソフトウェアデリバリーの速度を上げるのに役立つだろう。

ジュネード・アリ氏は、HaystackAnalyticsでソフトウェアエンジニアリング部門のマネジャーを務め、メンターとなるエンジニアリングリーダーを支援している。

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