不正なYouTube動画で投資詐欺 “薄利多売”で詐欺師がもうけた額は?YouTubeを悪用した投資詐欺【第2回】

「YouTube」で活発化している暗号資産投資の詐欺。詐欺師はどのような仕組みでユーザーをだましているのか。その被害の実態とは。

2023年04月19日 05時00分 公開
[Alex ScroxtonTechTarget]

 セキュリティベンダーWithSecureは、動画共有サイト「YouTube」で不正な動画を配信し、ユーザーを暗号資産(仮想通貨)への偽投資に巻き込もうとする詐欺について警鐘を鳴らしている。詐欺師は収益を得るためにどのような手口を使っているのか。

YouTube動画を悪用した“薄利多売ビジネス”の実態

 WithSecureが発見した動画は、YouTubeのユーザーを暗号資産「USDT」(Tether)への偽投資に巻き込もうとする。WithSecureのセキュリティ研究者アンディ・パテル氏は動画について次のように説明する。「作りが低品質で、翻訳以外はローカライズの工夫がされていない」。詐欺師は、綿密に計画を立てることなくYouTubeユーザーを偽投資に巻き込もうとしているとパテル氏はみる。

 「動画は少額の取引を大量に発生させることを目指している」とパテル氏は述べる。同氏によると、詐欺師は少額取引をした人の中からより大きな投資をしそうな人を洗い出し、集中的にアプローチする。ただし2022年後半は、詐欺師が被害者から得た金銭は約10万ドルに過ぎなかったと同氏は説明する。

 WithSecureの見方では、詐欺師はギャンブルに興じており、少額の金銭を引き出して満足している可能性がある。「今回の手口は、高度なソーシャルエンジニアリング(人の心理を巧みに利用する手口)を使って大きな収益を目指す、他の暗号資産詐欺とは対照的だ」(パテル氏)

 パテル氏は詐欺師がYouTubeを利用する理由の一つとして、多言語でソーシャルエンジニアリングができる人がいなくても、広くユーザーに簡単にアプローチできる点を挙げる。一方で、偽アプリケーション作成や被害者から引き出した暗号資産の管理といった作業にコストが発生するため、全体としては「低利益」になると同氏はみる。


 第3回は、暗号資産詐欺とSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)の関係を考える。

Computer Weekly発 世界に学ぶIT導入・活用術

米国TechTargetが運営する英国Computer Weeklyの豊富な記事の中から、海外企業のIT製品導入事例や業種別のIT活用トレンドを厳選してお届けします。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ITmedia マーケティング新着記事

news132.jpg

ハロウィーンの口コミ数はエイプリルフールやバレンタインを超える マーケ視点で押さえておくべきことは?
ホットリンクは、SNSの投稿データから、ハロウィーンに関する口コミを調査した。

news103.jpg

なぜ料理の失敗写真がパッケージに? クノールが展開する「ジレニアル世代」向けキャンペーンの真意
調味料ブランドのKnorr(クノール)は季節限定のホリデーマーケティングキャンペーン「#E...

news160.jpg

業界トップランナーが語る「イベントDX」 リアルもオンラインも、もっと変われる
コロナ禍を経て、イベントの在り方は大きく変わった。データを駆使してイベントの体験価...