「求職者が採用活動でどのような体験をし、企業に対してどのような印象を抱くのか」に、企業はもっと注意を払うべきだという声がある。その背景には何があるのか。求職者をぞんざいに扱う“塩対応”の報いとは。
企業にとって求職者とのやりとりは、自社との最初の接触から新人研修に至るまで、全てが重要だと専門家は指摘する。企業は採用の担当者や責任者を教育し、求職者に対する配慮を徹底する必要があるという。なぜ求職者への配慮が必要なのか。配慮が足りないと、どのようなリスクが生じるのか。
さまざまな業界で人員削減が進む中でも、人材採用に当たっては、依然として求職者側が優位な状況にある。企業にとって、求職者に対する配慮は欠かせない。
自社に対して求職者に好感を持ってもらえれば、企業は人材の幅を広げたり、自社の評判を高めたりしやすくなる。逆に不快な思いをさせれば、優秀な人材を失ったり、不快な思いをした経験を求職者に公表されてしまったりすることがある。消費者向けビジネスを展開する企業であれば、求職者に不快な思いをさせたことで、自社製品の利用客を失うことになりかねない。
「候補者体験」(CX:キャンディデートエクスペリエンス)という言葉がある。候補者体験は、求職者が採用のやりとりの中で得る体験価値のことだ。
求職者の状況改善を目指す非営利組織、Talent Boardのプレジデントを務めるケビン・W・グロスマン氏は、企業が求職者に与える印象に注目する。同氏は企業に対して、求職者とのコミュニケーションの重要性を強調。どのような場合でも、メールでの自動応答といった血の通わないコミュニケーションに頼るのは「不適切だ」と指摘する。
次回からは、候補者体験の重要性に関するグロスマン氏の見解を紹介する。
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