サンフランシスコジャイアンツは本拠地のスタジアムにさまざまな技術を導入している。それらを支えるネットワークには高速、大容量、信頼性、拡張性といった特性が求められる。そこで導入したのがWi-Fi 6Eだ。
MLB(メジャーリーグ機構)のチームであるサンフランシスコジャイアンツ(San Francisco Giants)は、ホームスタジアム「オラクルパーク」(Oracle Park)に無線LAN規格「Wi-Fi 6」の拡張版である「Wi-Fi 6E」準拠のネットワークを導入した。
オラクルパークは2000年に完成したスタジアム(当時はパシフィックベルパーク)で、約4万2300人を収容可能だ。同スタジアムはビデオ解析や、非接触決済などの技術を導入して、観客へのサービスの強化とスタッフの業務効率向上に取り組んできた。同スタジアムが新たにWi-Fi 6Eを導入した理由とは。
Wi-Fi は従来、2.4GHz帯と5GHz帯の周波数しか利用できなかったが、Wi-Fi 6Eで新たに6GHz帯が利用可能になった。2.4GHz帯と5GHz帯に比べて、6GHz帯を利用するシステムは限られているため混雑しておらず、接続が安定しやすいと考えられている。
サンフランシスコジャイアンツは、Wi-Fi 6Eを整備することで幾つかの利点を見込んでいる。エンドユーザーの端末におけるデータのダウンロードとアップロードの高速化や待ち時間の短縮、接続の安定性向上などだ。オラクルパークがWi-Fi 6Eを導入した理由は、ITを活用しながらスタジアムで観客へのサービスを継続的に強化するには、より強力なネットワークが不可欠だからだ。
ITを使ったサービスへの依存度が高まるほど、バックボーンのネットワークをより堅牢(けんろう)にする必要もある。サンフランシスコジャイアンツの運用スタッフには、容易に運用でき、拡張が可能なネットワークが必要となる。
オラクルパークに設置したWi-Fi 6E準拠の無線LANアクセスポイントは、ネットワーク機器ベンダーのExtreme networksが提供。設置には通信事業者のComcast Businessが協力した。
オラクルパークは、Wi-Fi 6Eに準拠するExtreme Networkの無線LANアクセスポイントを客席の上部や座席下など、約900カ所に設置した。この無線LANを、観客が利用するアプリケーションにもスタジアムのスタッフが利用するアプリケーションにも提供する。
Extreme Networksによると、Wi-Fi 6Eの導入で観客向けサービスの改善につなげることが可能だ。既にチケットをモバイル端末で購入したり、QRコードで入場したりといった迅速化を実現しているが、指や目を利用した生体認証による入場も将来的に可能になるという。
後編はオラクルパークがWi-Fi 6Eを導入することで、観客とスタッフがどのようなメリットを得たのかを解説する。
米国TechTargetが運営する英国Computer Weeklyの豊富な記事の中から、海外企業のIT製品導入事例や業種別のIT活用トレンドを厳選してお届けします。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
お知らせ
米国TechTarget Inc.とInforma Techデジタル事業が業務提携したことが発表されました。TechTargetジャパンは従来どおり、アイティメディア(株)が運営を継続します。これからも日本企業のIT選定に役立つ情報を提供してまいります。
CMOが生き残るための鍵は「生産性」――2025年のマーケティング予測10選【中編】
不確実性が高まる中でもマーケターは生産性を高め、成果を出す必要がある。「Marketing D...
世界のモバイルアプリ市場はこう変わる 2025年における5つの予測
生成AIをはじめとする技術革新やプライバシー保護の潮流はモバイルアプリ市場に大きな変...
営業との連携、マーケティング職の64.6%が「課題あり」と回答 何が不満なのか?
ワンマーケティングがB2B企業の営業およびマーケティング職のビジネスパーソン500人を対...