英国のバーミンガム市議会は、従来使用してきたERPの全面刷新を決断。SAPのシステムからOracleのシステムへの移行を目指す。その背景や理由とは。
英国のバーミンガム市議会は、1999年からSAPのERP(統合業務システム)を使用してきた。だが同市議会は、継続してきたそのERPの運用をやめて、OracleのクラウドERPに移行することを決めた。システム刷新の背景にはどのような理由があるのか。
バーミンガム市議会は2006年にSAPの他、ITコンサルティング企業のCapita、インドのITサービス事業者HCL Technologies傘下のHCL AXONと戦略的パートナーシップ契約を締結。これらのパートナー企業と共に、公共サービスを変革するための取り組みを2019年まで進めてきた。これは、当時の地方自治体プロジェクトとしては欧州で最大規模の契約だった。契約期間中、同市議会はSAPシステムにかなりの額を投資してきたという。
これまでバーミンガム市議会が使用してきたSAPのERPは、人事から財務、調達まで、複数のビジネスプロセスにおける業務を支えてきた。次のような役割を主に担う。
同システムには、他の市議会システムと連携するなど大幅なカスタマイズが加わっている。
バーミンガム市議会でデジタルおよびカスタマーサービス担当ディレクターを務めるピーター・ビショップ氏は、「現行のERPでは顧客課題に対処し切れない」と話す。ビショップ氏が挙げる具体的な問題は、以下の通りだ。
こうした理由から、バーミンガム市議会はOracleのクラウドERPへの移行を決めた。だが2018年に着手した移行作業は計画通りには進んでおらず、当初の想定以上の時間やコストが必要になっている状況だ。
後編は、OracleのクラウドERPへのシステム移行を阻む課題と、計画の今後について解説する。
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