CXL接続を使用する新種SSDの研究開発が進んでいる。Samsung Electronicsの「MS-SSD」もその一つだ。こうしたSSDは、NVMe接続SSDとは何が違うのか。
業界標準のインターコネクト(相互接続)規格「Compute Express Link」(CXL)を活用するSSD(CXL接続SSD)の研究開発が進んでいる。Samsung Electronicsが2022年に公開した「メモリセマンティックSSD」(MS-SSD)もその一つだ。
CXLを使用するこうした新種のSSDは、ストレージインタフェース規格「NVMe」(Non-Volatile Memory Express)で接続するSSD(以下、SSD)とは何が違うのか。
Samsung ElectronicsはCXL接続SSDの可能性を支持するベンダーの一社だ。同社のMS-SSDは、SSD内の永続メモリ(メモリとストレージの双方の特徴を備えたメモリ)にアクセスする際、バイトセマンティクス(文字列をバイト数単位で指定すること)を用いる。これは、一般的なSSDがブロック(複数のメモリセルを束ねたページの集合体)単位のアクセスを採用しているのとは異なる。
ブロック単位のアクセスは、1980年代初頭からの常識だった。当時は、ソフトウェアのI/O(データの入出力)によって数ミリ秒(1000分の1秒)単位の遅延が発生しても、誰も気付かなかった。当時のI/Oデバイスを扱うには最適な方法だったと言える。
SSDが普及し始めた2000年代初頭、ユーザーはソフトウェアのI/Oの動作がSSDのデータ転送速度を低下させることに気付き始めた。ソフトウェアの改良に着目したことでデータ転送速度は改善された。だが、ストレージのI/Oの基本構造がCPUの割り込み処理(実行中の処理を中止して別の処理を実行すること)で管理されていたことから、改善の効果は限定的だった。
永続メモリが登場すると、ソフトウェアの問題が浮き彫りになった。ストレージインタフェース規格「NVMe」(Non-Volatile Memory Express)で接続するSSD(以下、NVMe接続SSD)の場合、I/Oの動作に起因する待機時間はそれほど問題ではなかった。読み取り時間やデータ転送時間などを含めた全待機時間の中では、I/Oの動作に起因する待機時間はそれほど大きな割合を占めなかったからだ。
だが永続メモリの場合は、全体の待機時間が大幅に短縮し、I/Oの動作に起因する待機時間が、全体の待機時間の約50%を占めるようになる。その50%の遅延は許容できないという理由で、より高速なインターコネクト規格としてCXLが開発されたのだ。
第3回は、MS-SSDが示す「永続メモリ」(メモリとストレージの双方の特徴を持つメモリ)の可能性を探る。
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