それ、AI製? 人には判別不能でも「検出ツール」なら見破れるのかAI生成コンテンツを見分けられるか?【第2回】

著作権侵害をはじめとする生成AIのリスクを踏まえて、「AIコンテンツ検出ツール」に注目が集まる。どのようにAI製コンテンツを検出するのか、その仕組みを解説する。

2024年01月20日 08時00分 公開
[Ron KarjianTechTarget]

 テキストや画像などを自動生成するAI(人工知能)技術「生成AI」(ジェネレーティブAI)は、AIベンダーOpenAIの「ChatGPT」の登場以降、急速に普及した。同時に著作権侵害や、本物を装った合成コンテンツ「ディープフェイク」など、生成AIのリスク対策が急務となっている。

 AIモデルが生成したコンテンツの中には正確なものもある。しかしビジネスで使用するコンテンツには、AIモデルが生成したものかどうかを見分けられるようにすることが求められる。こうした背景から注目されるのが、コンテンツを生成したのがAIモデルなのか人間なのかを判断する「AIコンテンツ検出ツール」だ。

「AIコンテンツ検出ツール」の仕組みとは

併せて読みたいお薦め記事

連載:AI生成コンテンツを見分けられるか?

生成AIで成功するために必要な「リスク」の視点


 AIコンテンツ検出ツールは、インターネットをはじめとする複数の情報源から収集した大量のデータセットを用いて、コンテンツに特定の単語やフレーズが出現する可能性を予測する。コンテンツ内の単語の前後関係において、次の単語の予測可能性が高ければ高いほど、そのコンテンツはAIが生成した可能性が高いと判断する。

 一般的な機械学習モデルと同様、AIコンテンツ検出ツールでは特定パターンとのデータ照合にアルゴリズムを用いる。そうした照合を経て、最終的にはコンテンツ全体に対してAIモデルが生成したものなのかどうかの判断を下す。ただし、その結果は必ずしも信頼できるわけではない。

 AI技術の法的および技術的リスクを専門とする法律事務所Luminos.Lawで主席サイエンティストを務めるパトリック・ホール氏は、「私が目にする検出ツールの大半は、単純な分類アルゴリズムを用いる機械学習モデルを基にしたツールだ」と話す。一般的にAIコンテンツ検出ツールは、AIが生成したコンテンツと人間が作成したコンテンツ例を用意し、ラベル付けした上で訓練を実施する。残念ながら、このような基本的な手法がうまく機能するケースはほぼないという。「LLMは驚くほど洗練されたアーキテクチャを持っており、単純な機械学習ツールでは太刀打ちできない」(ホール氏)

 OpenAIは2023年1月、ChatGPTが生成した文章と人間の文章を見分けるためのツール「AI Text Classifier」を発表したが、それから6カ月以内に提供を終了している。理由として同社は精度の低さを挙げており、より精度の高いAIコンテンツ検出ツールの開発に取り組んでいるという。


 第3回以降は、6つのAIコンテンツ検出ツールと、実際に使用した評価を紹介する。

TechTarget発 世界のインサイト&ベストプラクティス

米国TechTargetの豊富な記事の中から、さまざまな業種や職種に関する動向やビジネスノウハウなどを厳選してお届けします。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

隴�スー騾ケツ€郢晏ク厥。郢ァ�、郢晏現�ス郢晢スシ郢昜サ」�ス

製品資料 AvePoint Japan株式会社

生成AIの落とし穴、“過剰共有”のリスクと防止策

適切に生成AIを使いこなすために、情報には「共有範囲」を設定することが重要となるが、管理が不十分だと“過剰共有”の状況が発生する。過剰共有は社内での情報漏えいにつながる可能性もあるため、十分な対策が必要となる。

製品資料 東京エレクトロン デバイス株式会社

生成AI活用の鍵、セキュリティと利便性を両立するための方法とは?

生成AIの活用には機密情報漏えいなどのリスクがあるため、利用を制限しているケースもある。しかし、完全に利用を制限してしまうと競合に後れを取る可能性がある。そこで重要なのが、セキュリティと利便性を両立できるような環境構築だ。

市場調査・トレンド 日本オラクル株式会社

今後のAI活用はどう進化する? AIがビジネスにもたらす10の価値と活用例

昨今、多くの組織がAIエージェントや生成AIをビジネスに活用しつつある。今後はAIをどうビジネスに組み込んでいくかが、組織が飛躍するためのポイントになるだろう。そこで本資料では、AIがもたらす10のビジネス価値を解説する。

製品資料 株式会社Zendesk

FAQやチャットへのAI導入でカスタマーサービスを次世代化、CXはどれだけ高まる

顧客体験(CX)を向上させるための手段として、広く注目されつつあるAIだが、実際にFAQやチャット/チャットbotにAIを導入することで、CXはどれだけ高まるのか。次世代のカスタマーサービスの作り方と、そのメリットを探る。

製品資料 NECネッツエスアイ株式会社

Zoomの新機能はもう使っている? 動画で分かる「生成AI機能による資料作成」

営業資料や議事録といった資料作成において、生成AIへの期待が高まっている。中でも注目したいのがZoomの生成AI機能だ。会議データからの資料作成は、生成AI活用でどのように効率化されるのか。動画で紹介する。

From Informa TechTarget

お知らせ
米国TechTarget Inc.とInforma Techデジタル事業が業務提携したことが発表されました。TechTargetジャパンは従来どおり、アイティメディア(株)が運営を継続します。これからも日本企業のIT選定に役立つ情報を提供してまいります。

繧「繧ッ繧サ繧ケ繝ゥ繝ウ繧ュ繝ウ繧ー

2025/04/22 UPDATE

ITmedia マーケティング新着記事

news046.png

「ECプラットフォーム」売れ筋TOP10(2025年4月)
今週は、ECプラットフォーム製品(ECサイト構築ツール)の国内売れ筋TOP10を紹介します。

news026.png

「パーソナライゼーション」&「A/Bテスト」ツール売れ筋TOP5(2025年4月)
今週は、パーソナライゼーション製品と「A/Bテスト」ツールの国内売れ筋各TOP5を紹介し...

news130.jpg

Cookieを超える「マルチリターゲティング」 広告効果に及ぼす影響は?
Cookieレスの課題解決の鍵となる「マルチリターゲティング」を題材に、AI技術によるROI向...