IntelはPCで人工知能(AI)技術を利用できるようにするプロセッサ「Core Ultra」を市場に投入した。他ベンダーも同様の狙いに照準を合わせる中で、IntelがAI用プロセッサの投入を急ぐ理由と、その影響とは。
人工知能(AI)技術の活用が、システムの中核を成すデータセンターだけではなく、「エッジ」(端末の近く)でも広がりつつある。これを背景に、プロセッサやクライアント端末のベンダーは、PCでAI技術を利用しやすくするための技術開発に注力している。
その一環としてIntelは2023年12月、AI技術を搭載したPC「AI PC」用のプロセッサ「Core Ultra」を正式発表した。実はこのAI用プロセッサは“全く斬新”というわけではないが、Intelには特別な思惑がある。
Core Ultraは、CPU(中央処理装置)やGPU(グラフィックス処理装置)「Intel Arc」の他に、AI技術の処理を担う「NPU」(Neural Processing Unit)を搭載。斬新な仕組みに見えるが、実はAI技術利用を想定したプロセッサそのものは新しい発想ではない。
例えばAppleは2017年、機械学習(ML)のアルゴリズムをリアルタイム処理できるプロセッサを開発した。Qualcommは2023年10月、NPUを組み込んで生成AI(エンドユーザーの指示を基にテキストや画像、音声などのデータを生成するAI)技術の処理を可能にしたプロセッサ「Snapdragon 8 Gen 3」を発表。Advanced Micro Devices(AMD)もAI分野に力を入れ、AI技術活用に最適化したプロセッサ「Ryzen AI」を投入している。
Intelは以前から、AI PC向けのプロセッサを開発する意欲を示してきた。同社のプロセッサが広く採用されていることもあり、AI技術活用の時流に乗り遅れてはいけないと考えているはずだ。Intelはここ数年、AI技術に精通するエンジニア部隊を強化し、積極的に製品開発に取り組んでいる。
AI技術活用を巡っては、さまざまなリスクを懸念する人もいる。リスクとしては、AI技術がサイバー攻撃に悪用されたり、生成AIが偽情報を作ったりするといったことが考えられる。こうしたリスクはAI技術の台頭に合わせて広がってきたものであり、エッジにおけるAI技術の利用が生み出したわけではない。
その意味では、PCをはじめとしたエッジの分野でAI技術が使われることと、AI技術が引き起こすリスクについては分けて考えた方がよい。AI技術の利用が急速に広がることを受けて、PC分野のベンダーはその動きに追随しなければならないだろう。
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