労働力不足に追い打ちを掛けるのが、1946年から1964年に生まれた「ベビーブーム世代」の退職だ。ベビーブーム世代が退職する理由は、定年だけではない。何が本当の理由なのか。
米国では新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大を契機に、従業員の離職が続く「大量離職」(The Great Resignation)の時代に突入した。米国労働省労働統計局(BLS:Bureau of Labor Statistics)が2022年4月に公開したデータによると、2021年4月から2022年4月の12カ月における米国の離職者数は7160万人だった。
大量離職の一端を担うのが、1946年から1964年に生まれた「ベビーブーム世代」の労働者の退職だ。ベビーブーム世代が退職する理由は、定年だけではない。なぜベビーブーム世代はもう働こうとしないのか。
調査機関Pew Research Centerが2020年11月に公開した記事によると、2020年第3四半期(7〜9月)だけで2860万人のベビーブーム世代が退職した。
Pew Research Centerが2020年4月に公開した記事は、ベビーブーム世代の人口は約7160万人で、1980年代から1990年代半ばに生まれた「ミレニアル世代」の7210万人に次いで2番目に人口を抱える世代であることを示している。人口の数値は、米国勢調査局が2020年4月に公開した人口推計と2017年12月に公開した人口予測を、Pew Research Centerがまとめたものだ。
ベビーブーム世代が退職すれば雇用可能な労働人口は減る。高齢者の増加は医療制度を逼迫(ひっぱく)させ、医師と看護師の確保が課題になり得る。大量退職時代を迎えた社会に高齢化の波が押し寄せる現象を「シルバーツナミ」(Silver Tsunami)と呼ぶ。
大量離職を生み出す要因の一つが、ベビーブーム世代は「退職したとしても経済的に問題なく暮らせる世代」であることだ。米国の政府データを調査する非営利団体USAFacts Instituteによると、ベビーブーム世代が持つ純資産の平均は160万ドル(約2億4000万円)で、米国の全世代の中で最も裕福だ。これまで得てきた収入でつつましく暮らし、賢く投資してきた人であれば、働き続けるのではなく自主的に退職を選ぶ可能性はある。
やむを得ない事情もある。ベビーブーム世代はそれ以降の世代ほどITに関する知識やノウハウを持たない傾向にあり、急速に変化する技術に適応することが難しい。年齢を理由に50代で解雇された人は、再び正社員として採用されることは難しいと考え、そのまま退職するケースがある。
後編は、ベビーブーム世代の退職に企業がどのような対策を講じているのかを紹介する。
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