「こんなはずじゃなかった」 ブーメラン社員を安易に受け入れた企業の末路ブーメラン社員は人材不足の救世主になるか【後編】

退職後に再雇用される「ブーメラン社員」は、即戦力が期待できる人材だ。ただし、採用する際にはさまざまな点から情報を整理し、他の従業員に配慮する必要がある。管理職が留意すべきポイントは。

2024年02月08日 05時00分 公開
[Christine CampbellTechTarget]

関連キーワード

ERP | 人事 | スキル


 人材不足や採用難に陥っている企業にとって、退職後に復職する「ブーメラン社員」は魅力的な存在に映る可能性がある。職場の雰囲気や業務をすでに理解しているブーメラン社員を採用すれば、オンボーディングを実施する手間も最小限で済む。ただし、ブーメラン社員の採用にはリスクもある。ブーメラン社員の雇用に際して、管理職や人事部門が留意すべき点を考察する。

ブーメラン社員を採用する上で気を付けるべき「リスク」

会員登録(無料)が必要です

 退職した従業員を再雇用するということは、その従業員が働いていた頃に存在した問題が組織内に再び持ち込まれることにもなりかねない。採用に関わる経営陣は、ブーメラン社員を採用することに伴うリスクを認識しておいた方がよい。

安心し切って成長しなくなる

 過去に働いていた経験から、職場の雰囲気や業務を理解していると安心して気が緩んでしまい、大した努力をしなくても問題ないと勘違いしてしまう場合があるという。その可能性を指摘するのは、人材企業MindHRの創業者で代表を務めるジェシカ・グレイザー氏だ。人によっては、新鮮なアイデアや視点のない状態で組織に戻ってくる可能性もある。

置き去りになった問題が明るみに出る

 ブーメラン社員が退職を選んだ際には理由があったはずだ。その時に置き去りにしたままの問題がパフォーマンスに影響を及ぼす可能性がある。

 「組織の問題や人間関係など、退職の決め手となった問題が残存している中で、退職した従業員を再雇用するのは悪手になる可能性がある」。こう話すのは、人事サービス企業Humaresoで人材戦略担当のディレクターを務めるロビン・スクーリング氏だ。

 その従業員が現職を辞めて戻ってこようとしている理由を把握しておく必要がある。採用に関わる経営陣は、直近の退職理由まで把握しておくことが望ましい。「復職を希望する理由が、何か嫌なことから逃げたいからではないこと、当社で働きたいのだということを確認するとよい」とスクーリング氏は語る。

すでに働いている従業員のやる気をそぐ

 ブーメラン社員の採用が他の従業員からの反感を買う可能性がある。例えば、復職する従業員が退職前よりも待遇が良くなった状態で採用され、同じ組織で働き続けた他の従業員を上回る肩書や給与を手にすれば、「社内でねたまれる恐れがある」とスクーリング氏は指摘する。

 退職中に起きた企業文化の変化に適応できない可能性もある。「古い手順に固執して、新しい業務手順に抵抗することも起こり得る」とポトラフカ氏は語る。

TechTarget発 先取りITトレンド

米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

新着ホワイトペーパー

製品資料 富士通株式会社

持続可能なサプライチェーンの実現に向けて必要なリスクマネジメントとは?

サプライチェーンリスクが多様化する中、いかにして適切なリスクマネジメントを実践し、持続可能なサプライチェーンを構築していくかが大きな課題になっている。課題を解消し、サプライチェーン変革を実現するためのヒントを紹介する。

技術文書・技術解説 富士通株式会社

異なる観点の提言から学ぶ、サステナビリティとビジネスが共存する新未来

早稲田大学ビジネススクールの入山章栄教授と富士通の瀧澤健氏が「サステナビリティへの取り組みと持続可能な成長の両立」をテーマに対談を行った。本資料では、企業の在り方が多角的・本質的な視点で議論された本対談を抜粋して紹介する。

製品レビュー ServiceNow Japan合同会社

「迷路のような社内ポータル」から脱却、HR業務をセルフサービス化する秘訣

従業員にさまざまなサービスを提供するHR業務に、生成AIを導入する動きが加速している。生成AIは、HR業務が抱えている課題をどのように解決し、従業員エクスペリエンス(EX)の品質向上と組織全体の生産性向上に貢献するのだろうか。

製品資料 株式会社日本能率協会マネジメントセンター

人材採用で増える動画選考、AI活用で見極めをどれだけ効率化できるのか

優秀な人材を採用するためには面接が欠かせないが、応募者のAI活用スキルも上がり、書類選考では見極めが難しい。また面接は実施数が多いと人事担当者の負担が大きくなる。そこで取り入れたいのが、動画での応募とAIを活用する方法だ。

製品資料 株式会社インターコム

「働き方改革関連法」対策を再点検、企業が取るべき実務対応とは?

「働き方改革関連法」の施行に伴い、労働時間の適正把握や時間外労働の上限規制など、企業はさまざまな対応を進めてきた。しかし、適切な対応ができているか改めて点検すべき点もある。企業が取るべき実務対応について解説する。

アイティメディアからのお知らせ

From Informa TechTarget

「テレワークでネットが遅い」の帯域幅じゃない“真犯人”はこれだ

「テレワークでネットが遅い」の帯域幅じゃない“真犯人”はこれだ
ネットワークの問題は「帯域幅を増やせば解決する」と考えてはいないだろうか。こうした誤解をしているIT担当者は珍しくない。ネットワークを快適に利用するために、持つべき視点とは。

ITmedia マーケティング新着記事

news017.png

「サイト内検索」&「ライブチャット」売れ筋TOP5(2025年5月)
今週は、サイト内検索ツールとライブチャットの国内売れ筋TOP5をそれぞれ紹介します。

news027.png

「ECプラットフォーム」売れ筋TOP10(2025年5月)
今週は、ECプラットフォーム製品(ECサイト構築ツール)の国内売れ筋TOP10を紹介します。

news023.png

「パーソナライゼーション」&「A/Bテスト」ツール売れ筋TOP5(2025年5月)
今週は、パーソナライゼーション製品と「A/Bテスト」ツールの国内売れ筋各TOP5を紹介し...