人材不足に悩む企業にとって、退職後に復職する「ブーメラン社員」は注目に値する人材だ。ブーメラン社員を受け入れるメリットには、人材不足の補充の他にどのようなものがあるのか。
従業員が退職を決める理由は、現職よりも高い給料が欲しい、学びや刺激を得られる仕事をしたくなった、上司と合わないなど、さまざまだ。しかし退職したからといって、従業員と企業との縁が完全に切れるわけではない。
退職した従業員が元の企業に復職する「ブーメラン社員」が注目を集めている。退職後に新たな経験やスキルを積んでから戻ってきたブーメラン社員は、職場の雰囲気や業務を理解しており、人材不足に悩む企業にとっては特に魅力的に映りがちだ。ただし、ブーメラン社員を再び受け入れる場合には注意が必要だ。例えば、時間がたち変化した職場になじむのに苦労する可能性が考えられる。退職前よりも待遇が良くなった状態で採用されたブーメラン社員は、他の従業員からネガティブな印象を抱かれる可能性もある。
企業がブーメラン社員を採用するメリットにはどのようなものがあるのか。
新規採用した従業員に必要なオンボーディング(新人の受け入れから戦力化までのプロセス)も、ブーメラン社員であれば一から全て実施せず、最低限に済ませることが可能だ。
ブーメラン社員のオンボーディングは時間がかからずコスト効率が高い――人事サービス企業Humaresoで人材戦略担当のディレクターを務めるロビン・スクーリング氏はこう指摘する。元従業員として、組織内の序列や物事の進め方をおおむね理解しているからだ。
ブーメラン社員は、組織に新たな視点をもたらす可能性がある。「彼らは『ずっとこうしてきた』という考え方に固執せず、退職後の環境で得たアプローチや知見を持ち込んでくれる」とスクーリング氏は説明する。
新しい配属部門のメンバーと顔見知りだった場合、力を合わせて業務プロセスを改善できる可能性もある。
半導体メーカーAmbiq Microで人事担当バイスプレジデントを務めるクリストファー・ポトラフカ氏によると、企業文化やチーム業務の進め方を把握しているブーメラン社員は、新規に採用した従業員よりも行動が迅速で業務の生産性が高くなる可能性がある。
退職後の従業員を再び採用するということは、企業がその従業員を信頼している証しといえる。「再雇用されることで、最初に採用された時と合わせて2度も企業から認められたと感じるだろう。評価されていると感じたブーメラン社員は自信を得て、企業の力になろうと速やかに動き出す可能性が高い」(ポトラフカ氏)
他の従業員にポジティブな影響をもたらす可能性もある。ブーメラン社員を受け入れたことで、自分が勤めている企業は元従業員の価値を認めて尊重する組織なのだと他の従業員が感じるようになる――こう話すのは、人材企業MindHRの創業者で代表を務めるジェシカ・グレイザー氏だ。元従業員を雇うことが、従業員全体の士気と忠誠心の高まりにつながる可能性があるという。
後編は、ブーメラン社員を受け入れることで生じ得るデメリットを紹介する。
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