Broadcomが、2023年11月に買収を完了させたVMwareの事業に、「VMware Horizon」を含む事業がある。その売却の意向を表明した同社。買収に乗り出す企業、売却額などはどうなるのか。
2023年11月末、半導体メーカーBroadcomによる仮想化ベンダーVMware買収が完了した。BroadcomのCEOホック・タン氏は2023年12月の第4四半期(8月~10月)決算報告で、仮想デスクトップインフラ(VDI)製品の「VMware Horizon」(以下、Horizon)を含む、VMwareのエンドユーザーコンピューティング(EUC)事業を売却する意向を表明した。買収に乗り出す企業や、売却金額などを考察する。
VMwareのEUC事業にはHorizonの他、統合エンドポイント管理(UEM)製品の「VMware Workspace One」や、アプリケーション仮想化機能「VMware App Volumes」が含まれる。
Broadcomは決算報告で、VMwareのEUC事業と、セキュリティベンダーCarbon Black(VMwareが2019年10月に買収)のエンドポイントセキュリティ製品群「VMware Carbon Black」について、2024年度の売上高を約20億ドルと見積もっている。
一般的に、SaaS(Software as a Service)ベンダーの企業価値は年間経常収益の10倍と言われる。非SaaSベンダーの場合は、年間経常収益の2~3倍だ。VMwareのEUC事業は100%SaaSで構成されてはいないため、間を取って6倍で計算してみる。EUC事業の年間経常収益が仮に15億ドルだとすると、買収には90億ドルが必要だ。この額は2022年、仮想化ベンダーCitrix Systemsの投資会社Evergreen Coast CapitalとVista Equity Partnersによる買収額の半分強に相当する。ユーザー層の広さを考えると妥当と言える。
VMwareのEUC事業買収に、90億ドルもの大金を出す企業は存在するのか。GoogleやAmazon Web Services(AWS)などのクラウドベンダー名を挙げるのはたやすいが、もしこれらのベンダーがデスクトップ仮想化やUEMなどの分野を手掛けたければ、既に実行しているはずだ。提供するクラウドサービス事業に負の影響を及ぼす可能性もあるため、これらの企業が名乗りを上げる見込みは薄い。
Microsoftによる買収も考えにくい。VMwareのEUC事業の大半はMicrosoft製品と競合している。親和性はあるが、それらを統合するのは簡単ではない。VMwareの状況が落ち着くまでの間に技術開発に投資した方が、Microsoftはより大きな利益を追求できるだろう。
次回は、VMwareの事業売却がどのような形態で進むのかを解説する。
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