VMwareの買収を2023年11月に完了させたBroadcomは、VMware従業員のレイオフに踏み切った。この動きから、BroadcomがVMware を買収した狙いの一部が見えてきた。
半導体ベンダーBroadcomは2023年11月に610億ドルでVMwareを買収し、同月下旬にVMware従業員のレイオフ(一時解雇)を開始した。業界関係者によれば、Broadcomが2018年にソフトウェアベンダーCA Technologiesを買収した際の経緯を考えると、今回のレイオフは驚くような事態ではない。
ニュースサイト「Ars Technica」によると、レイオフの対象となるVMwareの従業員数は2800人規模に上るという。ビジネス向けSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)「LinkedIn」の情報によると、VMwareでマーケティングやエンジニアリング、クラウドセキュリティ、営業、プログラム管理の各担当者が職を失っている。BroadcomがWARN法(労働者調整・再訓練予告法)に基づいて提出したコロラド州への事前通知によると、同州の都市ブルームフィールドにあるVMwareの事業所では184人の従業員が削減される見通しだ。
Broadcomによる買収がVMwareの従業員と製品に与える影響については、買収が完了する前から懸念されていた。Broadcomが2018年にCA Technologiesを190億ドル近くで買収した後、2000人規模のレイオフに踏み切った経緯があるためだ。調査会社Constellation Researchの創業者でアナリストのR・レイ・ワン氏は、「Broadcomはこれまで買収した企業の事業を即時売却するというやり方を重ねて利益を生み出してきた」と説明する。
ユーザー企業はBroadcomの意思決定に納得できないのであれば同社との取引を打ち切ることができるが、VMware製品のユーザー企業にとってそれは簡単な話ではない。「契約更新時の交渉で、VMware製品のロードマップや、従来と同等のサービスを受けられるかどうかといった点について確認すべきだ」とワン氏はアドバイスする。
Broadcomによる買収を受け、退職を決断するVMware従業員はいる。2年制の職業大学Milwaukee Area Technical CollegeのITアーキテクト兼インストラクターで、VMwareのユーザーグループに長年参加するブライアン・カーシュ氏は、VMwareの一部のシニアスタッフは退職を検討、もしくは自主的に退職していると話す。その一因は、BroadcomのCA Technologies買収後に起きた事態を目の当たりにしたことにあるという。
カーシュ氏は「BroadcomとVMwareの相性が良いとは言えない。MicrosoftやIntelなど、VMwareに合う企業は他に存在する」との見方を示す。同氏によると、VMwareは顧客にロードマップを共有したり、顧客の意見を考慮したりと、傾聴の文化が根付いていたという。今後BroadcomがVMwareを傘下に置いてどのような戦略を推し進めるのか、不透明な状況が続く。
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