VMware買収後のBroadcomはどう動くのか。喫緊の課題としては、VMware HorizonとCarbon Blackという2つの製品群の行方だ。
半導体ベンダーBroadcomによるVMwareの買収は、2022年5月の発表から約18カ月という期間を経て、2023年11月22日(現地時間)に完了した。米中関係の混乱の中で決裂しかけながらの交渉で、もし11月26日(現地時間)までに取引が成立しなければ、BroadcomはVMwareに対して15億ドルの契約解除料を支払うことになっていた。
買収が発表されて以来、VMwareのユーザー企業やパートナー企業、従業員に至るまで、誰もが先行きに疑問ばかりを抱えていた。買収が完了した今、喫緊の問題が新たに浮上している。VDI(仮想デスクトップインフラ)の製品群「VMware Horizon」とエンドポイントセキュリティ製品群「VMware Carbon Black」(以下、Carbon Black)の将来はどうなるのか、という点だ。
Broadcomがこの2つの事業部門をどうするかに関してはさまざまな方向性が考えられるが、いずれもBroadcomの他の事業と特段のシナジーがないことから、将来的に何らかの形で事業が売却される可能性がある。実際、BroadcomのCEOホック・タン氏はこの2つの事業について「戦略的選択肢を検討する」と述べたと伝えられている。
とはいえ、VMware Horizonのユーザー企業はそれほど不安になる必要はない。VMware Horizonの事業はあまりにも大きく、戦略的なものになり得るため、単純に消滅させることはできない。既存の製品は、当分の間はほぼ間違いなく存在し続けると考えられる。ただし、ライセンス更新時の請求書に記載する会社名は、今後数カ月から数年のうちに変わる可能性がある。
Carbon Blackについてはどうか。同製品群は、旧VMwareが2019年に、セキュリティベンダーCarbon Blackを買収して得たものだ。2023年11月27日(現地時間)にVMwareのバイスプレジデント兼ゼネラルマネジャーのジェイソン・ロールストン氏がBroadcom公式ブログで発表した内容によれば、Carbon Blackの事業は、Broadcom内で独立した部門となっている。
これは、Broadcomが2019年にセキュリティベンダーSymantecを買収して得たエンドポイントセキュリティ製品群とCarbon Blackの統合に、Broadcomが興味を持っていないことを示している。そのため、BroadcomがCarbon Black製品群を将来的に売却する可能性はある。
しかし、これは悪いことではない。Carbon Black製品をBroadcomの既存のセキュリティ製品と統合することは、パートナー企業や販売事業者にとって容易ではないだろう。Carbon Blackの事業を独立させて売却する可能性を残しておけば、Carbon Blackとその将来に新たな息吹を吹き込むことができる。
BroadcomによるVMwareの買収は完了したが、買収前の期間に作成された計画を実行に移すための実際の作業は始まったばかりだ。今後、ユーザー企業や関係者はさまざまな疑問を抱えることになるだろう。
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