「PC」や「スマホ」をいいかげんに捨てたら“絶対NG”な理由業務用端末のリサイクルで得られる利点【前編】

企業のIT管理者は、業務用デバイスの調達だけでなく廃棄のプロセスも入念に計画を立てるべきだ。デバイスを廃棄する際に、できる限りリサイクルを選択することにはさまざまな利点がある。それは何か。

2024年02月03日 11時00分 公開
[Katie FentonTechTarget]

 ハードウェアの「廃棄」は、調達や管理と同じく、さまざまな要件を検討して計画する必要があるプロセスだ。電子機器の廃棄は、環境に加えて企業にも負の影響を与える。

 PCやスマートフォンなど、エンドユーザー向けの業務用端末の廃棄が環境や経営に及ぼす悪影響を抑えるために、企業は処分方法を検討する必要がある。可能な限り端末の廃棄よりも、リサイクルを優先すべきだ。それには明確な理由がある。業務用端末のライフサイクル管理にリサイクルを取り入れるための視点と共に、4つのポイントを解説する。

業務用端末を“いいかげん”に廃棄してはいけない4つの理由

 あらゆる企業で持続可能性を踏まえた事業戦略に取り組むことが必要となっている。そのような中で、ビジネス向けのIT製品や技術は、炭素排出量の増大やその他の環境問題を引き起こす原因と一つとなっている。2022年9月に調査会社のMcKinsey & Companyが発表したレポート「The green IT revolution: A blueprint for CIOs to combat climate change」(緑のIT革命:CIOが気候変動と戦うための計画)では、こうしたIT製品の環境への影響が分析されている。レポートによると、エンドユーザー向けのスマートフォンやPCなどの端末は、二酸化炭素換算で年間約1億1500万トンから1億2500万トンの温室効果ガスを排出しているとされる。

 不適切なデバイスの廃棄は人体への害や資源の無駄遣いや、土壌汚染を引き起こす。データセキュリティのリスクの原因にもなり、違法行為として罰せられる可能性もある。現在、米国の25個の州とワシントンD.C.では、電子機器の廃棄に関する法律が制定されている。

 以下では、業務用端末のリサイクルを優先すべき理由を4つにまとめて具体的に紹介する。

1.不適切な電子廃棄物の処理は危険で、場合によっては違法になる

 電子機器には、およそ60種類もの貴金属や元素が含まれている。そのため簡単に廃棄や焼却ができず、一般的なごみとして捨てると地球環境に悪影響を与える。電子機器を溶解したり焼却したりすると、鉛などの有害物質が埋立地に加わったり、有害な煙やガスが排出されたりするリスクがある。電子機器に含まれる物質は人の健康にも悪影響を及ぼす可能性がある。一般的にスマートフォンやPCには、鉛や水銀、カドミウムなどの発がん性物質が含まれているためだ。

 このような危険に対処するために、世界の各国で電子機器の廃棄に関する法律が制定されている。企業はこれらの法律に従うことが重要だ。米国では拡大生産者責任(EPR)法に基づき、端末の製造者が使用済み端末を回収し、リサイクルする責任を負う。リサイクルにかかる費用は一般的には製造者が負担するが、カリフォルニア州には消費者がデバイス購入時にリサイクル料金を支払う制度がある。

 EU(欧州連合)は2003年に電気電子機器廃棄物指令(Directive on Waste Electrical and Electronic Equipment:WEEE)を施行し、加盟国に電子機器の廃棄物の収集や回収、リサイクルに関する目標の達成を求めている。電子機器の廃棄物に関する法律は国や州によって異なるため、IT管理者は自社に影響する政策や法律を精査して、それらにのっとった戦略を立てる必要がある。


 後編は、業務用端末のリサイクルをする理由4つのうち、残り3つを紹介する。

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