企業のIT管理者は、業務用デバイスの調達だけでなく廃棄のプロセスも入念に計画を立てるべきだ。デバイスを廃棄する際に、できる限りリサイクルを選択することにはさまざまな利点がある。それは何か。
ハードウェアの「廃棄」は、調達や管理と同じく、さまざまな要件を検討して計画する必要があるプロセスだ。電子機器の廃棄は、環境に加えて企業にも負の影響を与える。
PCやスマートフォンなど、エンドユーザー向けの業務用端末の廃棄が環境や経営に及ぼす悪影響を抑えるために、企業は処分方法を検討する必要がある。可能な限り端末の廃棄よりも、リサイクルを優先すべきだ。それには明確な理由がある。業務用端末のライフサイクル管理にリサイクルを取り入れるための視点と共に、4つのポイントを解説する。
あらゆる企業で持続可能性を踏まえた事業戦略に取り組むことが必要となっている。そのような中で、ビジネス向けのIT製品や技術は、炭素排出量の増大やその他の環境問題を引き起こす原因と一つとなっている。2022年9月に調査会社のMcKinsey & Companyが発表したレポート「The green IT revolution: A blueprint for CIOs to combat climate change」(緑のIT革命:CIOが気候変動と戦うための計画)では、こうしたIT製品の環境への影響が分析されている。レポートによると、エンドユーザー向けのスマートフォンやPCなどの端末は、二酸化炭素換算で年間約1億1500万トンから1億2500万トンの温室効果ガスを排出しているとされる。
不適切なデバイスの廃棄は人体への害や資源の無駄遣いや、土壌汚染を引き起こす。データセキュリティのリスクの原因にもなり、違法行為として罰せられる可能性もある。現在、米国の25個の州とワシントンD.C.では、電子機器の廃棄に関する法律が制定されている。
以下では、業務用端末のリサイクルを優先すべき理由を4つにまとめて具体的に紹介する。
電子機器には、およそ60種類もの貴金属や元素が含まれている。そのため簡単に廃棄や焼却ができず、一般的なごみとして捨てると地球環境に悪影響を与える。電子機器を溶解したり焼却したりすると、鉛などの有害物質が埋立地に加わったり、有害な煙やガスが排出されたりするリスクがある。電子機器に含まれる物質は人の健康にも悪影響を及ぼす可能性がある。一般的にスマートフォンやPCには、鉛や水銀、カドミウムなどの発がん性物質が含まれているためだ。
このような危険に対処するために、世界の各国で電子機器の廃棄に関する法律が制定されている。企業はこれらの法律に従うことが重要だ。米国では拡大生産者責任(EPR)法に基づき、端末の製造者が使用済み端末を回収し、リサイクルする責任を負う。リサイクルにかかる費用は一般的には製造者が負担するが、カリフォルニア州には消費者がデバイス購入時にリサイクル料金を支払う制度がある。
EU(欧州連合)は2003年に電気電子機器廃棄物指令(Directive on Waste Electrical and Electronic Equipment:WEEE)を施行し、加盟国に電子機器の廃棄物の収集や回収、リサイクルに関する目標の達成を求めている。電子機器の廃棄物に関する法律は国や州によって異なるため、IT管理者は自社に影響する政策や法律を精査して、それらにのっとった戦略を立てる必要がある。
後編は、業務用端末のリサイクルをする理由4つのうち、残り3つを紹介する。
米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
社内システムが部門や担当ごとに分断し、業務のボトルネックとなっていたエイト日本技術開発(EJEC)。そこで同社は、従業員と組織の新たな業務スタイルを支える、ワークフローの確立に着手する。その方法とは?
グローバル空調機器メーカーであるダイキンでは、IT資産管理におけるさまざまな課題が浮上していた。そこで同社は、IT資産管理の仕組みの抜本的更新を決定。現在では、IT資産管理の一元管理を実現している。同社の事例を詳しく紹介する。
「Windows 10」のサポート終了が迫っているものの、まだ「Windows 11」に移行していないユーザーは少なくない。そうした中で、従来の常識にとらわれない“新しい移行の形”が注目を集めている。
クラウド移行する企業が増え、この流れは加速することが想定されるが、一方でオンプレミスは現在も活用されている。このハイブリッド環境ではデータが分散するため、セキュリティの観点から統合的に可視化することが求められる。
ランサムウェアが猛威を振るう中、バックアップの重要性に注目が集まっている。迅速な復旧を目指す場合、バックアップとHAクラスタリングの併用が求められるが、問題は両者の相性だ。ここでは「Arcserve Backup」との相性を検証した。
いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは
遠隔のクライアント端末から、サーバにあるデスクトップ環境を利用できる仕組みである仮想デスクトップ(仮想PC画面)は便利だが、仕組みが複雑だ。仮想デスクトップの仕組みを基礎から確認しよう。
「ECプラットフォーム」売れ筋TOP10(2025年5月)
今週は、ECプラットフォーム製品(ECサイト構築ツール)の国内売れ筋TOP10を紹介します。
「パーソナライゼーション」&「A/Bテスト」ツール売れ筋TOP5(2025年5月)
今週は、パーソナライゼーション製品と「A/Bテスト」ツールの国内売れ筋各TOP5を紹介し...
「マーケティングオートメーション」 国内売れ筋TOP10(2025年5月)
今週は、マーケティングオートメーション(MA)ツールの売れ筋TOP10を紹介します。