より小規模向けERPへと向かう中堅・中小企業、その先を解説する識者が語る「ERP製品選択の目」:ノークリサーチ 岩上由高氏

自社の企業規模よりも小さな企業規模を対象としたERPをユーザー企業が選択する「だるま落とし現象」がERP市場で起きている。ノークリサーチの岩上由高氏がその背景を分析する。

2010年12月09日 08時00分 公開
[垣内郁栄,TechTargetジャパン]

 「ERP市場のだるま落とし現象」といえるだろう。中堅・中小企業を中心に、ユーザー企業が自社の企業規模に合ったERPではなく、より小さな企業規模を対象としたERPを選択する傾向が顕著になっているのだ。これまで売上高が1000億円市場の大企業であれば、「SAP ERP」などの大企業向けERPを選ぶことが多かったが、そのような企業が中堅企業を主なターゲットにするERP製品を選ぶようになっている。中堅向けERPを導入すべきユーザー企業はさらにその下の企業規模を対象とするERPに興味を持っている。このように、ユーザー企業が関心を持つERPが、おもちゃのだるま落としのように一段階ずつ下がっている。ノークリサーチのシニアアナリスト 岩上由高氏は「安い製品で、導入範囲を狭く、カスタマイズを減らすというのが中堅・中小企業のトレンドだ」と指摘する。

これまでの識者の言葉

「IFRS適用をきっかけにERPのクラウド利用が進展する可能性がある」

  IFRS適用は“塩漬けERP”を刷新するチャンスである(矢野経済研究所 小林明子氏) より

「トップダウンの決断しかない」

  ERP神話を超えて――変化する企業のIT投資(IDC Japan 赤城知子氏)より

「チャレンジをしたくないというCIOは無難な製品を選ぶ」

  不満を持ちながらERPを使うユーザー企業にどう応えるか(ERP研究推進フォーラム)より

「外資と国産のどちらのアプローチが良いというものではない」

  外資か国産か、IFRSを見据えたERP選びの鍵は「自社のIT戦略」(ガートナー ジャパン 本好宏次氏)より


中堅・中小企業市場でSAPがシェアトップに

 この現象はノークリサーチが2010年10月15日に公表した「2010年中堅・中小企業のERP利用シェアと評価調査報告」からも分かる(発表資料PDF、以下、ERP調査報告)。年商500億円未満の中堅・中小企業を対象にした調査では、SAPジャパンの「SAP ERP/SAP Business All-in-One」が11.4%の導入社数シェアでトップだった。SAPジャパンは、「同社において中堅・中小企業を表す『SME(Small&Medium Enterprise)』の定義を従来の『年商1000億円以下の企業』から『年商300億円以下の企業』へと引き下げ、SAP Business All-in-Oneの訴求を強めている」(ERP調査報告)ことからシェア首位を獲得した。

会員登録(無料)が必要です

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

新着ホワイトペーパー

製品資料 ストライプジャパン株式会社

顧客満足度の低下を防ぎ、安全なオンライン決済を実現するためのアプローチとは

クレジットカード支払いをはじめとするオンライン決済が広く普及した今。決済を安全かつ正確に行える仕組みづくりが不可欠となっている。その推進で直面しがちな課題と解決策について、5つのカテゴリーに分けて解説する。

製品資料 アルテリックス・ジャパン合同会社

待ったなしのサプライチェーン変革、鍵となるAI・機械学習の活用ガイド

サプライチェーンは市場の大きな変化と、自社IT環境における山積する課題に直面している。本資料ではその背景を考察しつつ、AIを活用したアプローチで、サプライチェーン変革を成功に導くデータインサイト実現の方法を解説する。

製品資料 アルテリックス・ジャパン合同会社

税務ミスによる平均損失額は1千万ドル、正確性を向上させるための方法とは?

企業の税務部門は、増大する業務量や表計算ソフトの利用による非効率性に直面している。これらは経営・運営・業務などに影響を及ぼし、組織全体のパフォーマンスを低下させる要因となる。そこで注目したいのが、税務業務の自動化だ。

事例 アルテリックス・ジャパン合同会社

加重平均演算やOLAP分析も可能に、加藤産業が原価管理の脱Excelに選んだ手法は

商流管理や原料管理などのデータを1つのExcelファイルに集約して計算していた加藤産業では、マクロ処理におけるメンテナンスの属人化などを解消すべく、新たな手段を模索していた。そこで選ばれたアプローチと、その効果とは?

比較資料 アイティメディア広告企画

勤怠管理システムはどう選べばよい? 製品比較時に見るべき9つのポイント

タイムカードやExcelによる勤怠管理を脱却すべく、システム導入を進める企業が増える一方、どのような製品を選べばよいか悩むケースもまだ多い。そこでユーザーレビューを基に、製品比較時に見るべき9つのポイントなどを詳しく解説する。

From Informa TechTarget

いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは

いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは
遠隔のクライアント端末から、サーバにあるデスクトップ環境を利用できる仕組みである仮想デスクトップ(仮想PC画面)は便利だが、仕組みが複雑だ。仮想デスクトップの仕組みを基礎から確認しよう。

ITmedia マーケティング新着記事

news017.png

「サイト内検索」&「ライブチャット」売れ筋TOP5(2025年5月)
今週は、サイト内検索ツールとライブチャットの国内売れ筋TOP5をそれぞれ紹介します。

news027.png

「ECプラットフォーム」売れ筋TOP10(2025年5月)
今週は、ECプラットフォーム製品(ECサイト構築ツール)の国内売れ筋TOP10を紹介します。

news023.png

「パーソナライゼーション」&「A/Bテスト」ツール売れ筋TOP5(2025年5月)
今週は、パーソナライゼーション製品と「A/Bテスト」ツールの国内売れ筋各TOP5を紹介し...