自社の企業規模よりも小さな企業規模を対象としたERPをユーザー企業が選択する「だるま落とし現象」がERP市場で起きている。ノークリサーチの岩上由高氏がその背景を分析する。
「ERP市場のだるま落とし現象」といえるだろう。中堅・中小企業を中心に、ユーザー企業が自社の企業規模に合ったERPではなく、より小さな企業規模を対象としたERPを選択する傾向が顕著になっているのだ。これまで売上高が1000億円市場の大企業であれば、「SAP ERP」などの大企業向けERPを選ぶことが多かったが、そのような企業が中堅企業を主なターゲットにするERP製品を選ぶようになっている。中堅向けERPを導入すべきユーザー企業はさらにその下の企業規模を対象とするERPに興味を持っている。このように、ユーザー企業が関心を持つERPが、おもちゃのだるま落としのように一段階ずつ下がっている。ノークリサーチのシニアアナリスト 岩上由高氏は「安い製品で、導入範囲を狭く、カスタマイズを減らすというのが中堅・中小企業のトレンドだ」と指摘する。
IFRS適用は“塩漬けERP”を刷新するチャンスである(矢野経済研究所 小林明子氏) より
ERP神話を超えて――変化する企業のIT投資(IDC Japan 赤城知子氏)より
不満を持ちながらERPを使うユーザー企業にどう応えるか(ERP研究推進フォーラム)より
外資か国産か、IFRSを見据えたERP選びの鍵は「自社のIT戦略」(ガートナー ジャパン 本好宏次氏)より
この現象はノークリサーチが2010年10月15日に公表した「2010年中堅・中小企業のERP利用シェアと評価調査報告」からも分かる(発表資料PDF、以下、ERP調査報告)。年商500億円未満の中堅・中小企業を対象にした調査では、SAPジャパンの「SAP ERP/SAP Business All-in-One」が11.4%の導入社数シェアでトップだった。SAPジャパンは、「同社において中堅・中小企業を表す『SME(Small&Medium Enterprise)』の定義を従来の『年商1000億円以下の企業』から『年商300億円以下の企業』へと引き下げ、SAP Business All-in-Oneの訴求を強めている」(ERP調査報告)ことからシェア首位を獲得した。
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