IFRS適用でERP刷新に向かう企業のIT投資。単なる法制度対応ではもったいない。これを機に“塩漬けERP”を刷新し、ERPによるプラスαの効果を狙うべきだ。矢野経済研究所の小林明子氏に聞いた。
「IFRSというキーワードによって、ERPや会計システムへの投資の優先度が上がる可能性がある」。矢野経済研究所の研究員 小林明子氏は企業のIT投資の今後の動向をこう予測する。同研究所の調査によると、国内のERPパッケージライセンス市場は2009年に前年度比14%減と冷え込んでいる。しかし、企業の老朽化した“塩漬けERP”がビジネスの柔軟性を奪っているのも事実。IFRS適用をきっかけにERP刷新が進む可能性がある。
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矢野経済研究所は2010〜2016年までの7年間のIFRS関連IT投資の累計総額を8293億円と予測する(参考記事:IFRS対応のためのIT予算――平均は1億1450万円)。ここでいうIFRS関連IT投資とは、ERPパッケージや会計システムのほか、コンサルティングやシステムインテグレーションなどのサービス、システム導入のためのハードウェアなどを含む。同研究所によると、投資の内訳はERPパッケージ・会計システムと、システムインテグレーション、ハードウェアがそれぞれ2割強。これまでスクラッチ開発の会計システムを使っていた企業も、ERPパッケージの採用に進むと小林氏はみている。
「今回の調査で、会計システムでのスクラッチシステムの利用率は3割あったが、スクラッチのユーザーがIFRS対応のためにERPに投資するという回答は4割以上あった。この割合は、ERPユーザーがERPに投資すると回答した比率と大差がない。スクラッチでは頻繁な制度改定には耐えられないという理由からERPを導入する動きは進むだろう」
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