「SAP S/4HANA」の導入オプションにはパブリッククラウドとプライベートクラウドがある。両者の機能の違いを整理し、比較してみた。
CIO(最高情報責任者)が「S/4HANA」の導入オプションのうち、パブリッククラウドとプライベートクラウドの導入を比較検討する際は、それぞれの機能を理解することが重要だ。
S/4HANAはインメモリデータ処理製品「SAP HANA」を基盤とするERP(統合業務)アプリケーションで、SAPの「ERP Central Component」(ECC)の後を継ぐ存在でもある。S/4HANAは、パブリッククラウドとプライベートクラウドで利用できる。オンプレミスバージョンでも利用できることに加え、クラウドとオンプレミスソフトウェアを組み合わせるハイブリッドモデルも利用できる。これら全てのバージョンに、SAPのアプリケーション群「SAP Fiori」のユーザーインタフェース(UI)が組み込まれている。
S/4HANAをパブリッククラウドとプライベートクラウドのどちらで利用するかをCIOが評価する場合、幾つかの要素を慎重に検討する必要がある。コスト、導入のしやすさ、業界の特異性、データセキュリティの点でニーズを満たす、最適な選択肢を判断しなければならない。
パブリッククラウド版のS/4HANAはSaaS(Software as a Service)だ。これは同ソフトウェアのマルチテナントバージョンで、全てのテナント(ユーザー企業)が同じクラウドを共有する。そのため、低コストで効率が高いと同時に拡張性にも優れている。つまり、テナントごとにデータをアップロードし、必要な機能と不要な機能をそれぞれオン、オフにでき、すぐに使える汎用(はんよう)のクラウドネイティブなERPソフトウェアになっている。使用準備は数週間で整う。
パブリッククラウド版S/4HANAのインフラ管理と、システムの定期メンテナンスはSAPが担当する。これにはアップグレードやパッチの適用も含まれる。データのサイバーセキュリティ、ガバナンス、コンプライアンスもSAPが確保する。
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