「VMware買収」の“全容”見えず VDI含む一部事業の行く先は?VMware製品を巡る今後【後編】

Broadcomは、2023年11月に買収を完了させたVMwareの一部事業を売却する意向だと公表した。売却は本当に成立するのか。今後どのように進む見込みなのかを解説する。

2024年02月08日 05時00分 公開
[Gabe KnuthTechTarget]

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 2023年11月末、半導体メーカーBroadcomによる仮想化ベンダーVMware買収が完了した。BroadcomのCEOホック・タン氏は2023年12月に開催した第4四半期(8月〜10月)決算報告で、仮想デスクトップインフラ(VDI)製品の「VMware Horizon」(以下、Horizon)を含む製品群を売却する意向を表明した。ただし可能性としては、売却以外の選択肢も残されている。過去にあった例を踏まえて解説する。

VMwareの事業売却はどう進む? それとも進まない?

 Broadcomが売却の意向を表明しているVMwareのエンドユーザーコンピューティング(EUC)事業にはHorizonの他、統合エンドポイント管理(UEM)製品の「VMware Workspace One」といった主力製品が含まれる。ユーザー企業は両製品をセットで導入することがあるが、両製品が技術面で統合されている点はほぼない。これらの事業を買収する企業がどちらかの製品にのみ関心を持てば取引は複雑になるものの、可能性としてはあり得る話だ。

 この状況を考慮すると、プライベートエクイティファンド(未上場の株式に投資するファンド)を扱う投資会社への売却が有力な選択肢として考えられる。典型的な手法では、大幅な人員削減を実施し、製品やサービスのポートフォリオを簡素化して、業務の合理化と収益性向上を図る。2022年、仮想化ベンダーCitrix Systemsが投資会社Evergreen Coast CapitalとVista Equity Partnersに売却され、持ち株会社Cloud Software Group傘下でデータ分析ベンダーTIBCO Softwareと合併した際も、同様の手法が見られた。

 もう一つ考えられる可能性は、スピンオフ(独立)だ。この場合、株主が所有する株式で新しい企業を設立する。スピンオフを実施する場合、Broadcomとその取締役会は、EUC事業の将来性に期待を示すことを意味する。ただしこれはBroadcomの本来の意図には合致しない可能性がある。スピンオフが妥当な結果になり得るのは、プライベートエクイティファンドなどの買い手候補が、EUC事業の価値を過小評価する場合だ。

 VMware買収に関する状況はまだ落ち着いておらず、Broadcomが次にどう動くのかについて断言できない段階だ。平常通りでいるのは難しいが、まだ存在しない問題や状況を見据えて対処するのも難しい。それでも、「百の治療より一の予防」という格言の通り、こうした状況を認識しておくだけでも意義がある。

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