6Gでは5Gと比べて50倍以上のデータ伝送速度が期待されている。速さを向上させるには、ミリ波やテラヘルツ波といった周波数帯の電波を使いこなす必要があるが、そのためには“あるもの”が必要だ。
通信業界は既に「6G」(第6世代移動通信)に向けた準備を進めている。6Gの仕様はまだ決まっていないが、通信業界内では「5G」(第5世代移動通信)に比べて“50倍速いデータ伝送速度”や、マイクロ秒レベルでの遅延が期待されている。
このようなネットワークを実現するために、6Gでは24GHz帯以上の「ミリ波」や100GHz以上を指す「テラヘルツ波」などの高周波数帯を利用する必要がある。調査会社のIDTechExは6Gを10年以内に世界各国で展開するには、通信事業者、部品サプライヤー、政府機関、学術機関、機材サプライヤーなどが今すぐ“あるもの”の開発を加速させる必要があると指摘している。6Gには何が必要なのか。
IDTechExは同社の調査レポート「Low-loss materials for 5G and 6G 2024-2034: Markets, trends, forecasts」で、6Gおよび6Gを利用するアプリケーションを実現するために信号の損失を抑える「低損失材料」が欠かせないと指摘している。
ネットワークを介してデータをやりとりするには、データを適切な物理信号に変換して伝える必要があるため、ネットワークの性能や信頼性は信号強度に依存する。6Gでテラヘルツ波を扱うには、信号伝達距離の極端な短さと、建物や樹木といった見通し障害物による信号の損失といった課題を克服する必要がある。
6Gにはさまざまな技術の進歩が求められるが、「伝送時の信号損失を抑えるための基地局を構成する各部品に用いられる材料の革新は、他の技術進歩に欠かせない基盤となる」とIDTechExは指摘している。さらに「次世代低損失材料は、少なくとも現在の超低損失材料の性能をしのぐことが期待できる」と述べる。
現在でも商業利用されている低損失材料を出発点として、6G用の低損失材料の課題にアプローチしている研究者もいる。そのため、「ポリテトラフルオロエチレン」や「強化エポキシ熱硬化性樹脂」といった標準的な誘電体材料(注1)に、新しい構造や変更が取り入れられる可能性がある。
※注1:スマートフォンやPC内部のコンデンサーに使われる材料で絶縁体の一種。
半導体チップを周囲から防護するための「半導体パッケージ」用の低損失材料についても研究が進んでいる。ポリイミドやポリフェニルエーテル(PPE)のような有機材料は、基板を構成する材料として開発が進められている。
IDTechExは、半導体パッケージ用の無機材料(注2)についての研究が盛んだと分析している。例えば、「アンテナ一体型ダイ(さいの目状になった半導体チップ)内蔵パッケージの基板としてガラスを使用することの有望性を実証する論文が相当数発表されており、これによって相互接続の際の信号の損失を低減できる可能性がある」という。
※注2::セラミックやガラスなどの無機物を材料に用いたもの。有機物によるパッケージと比べて強度に優れる。
他にも6Gアプリケーション向けの新しいセラミックの構成が研究されている他、熱可塑性プラスチック(加熱すると柔らかくなり、冷却すると固くなるプラスチック)やシリカフォーム、木材を使った複合材料など、新しい材料を活用するアプローチも研究されている。
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