6Gに関する調査レポートが公開された。6Gが目指す方向性とは何か。商用展開の時期、データレートはどうなるのか。
ABI Research、6GWorld、InterDigitalによるレポート「6G:The Network of Technology Convergence」は、6Gの主な特性、基盤技術、実現可能な技術、業界や経済にもたらす可能性を明らかにしようと試みている。メタバース、アバター通信、センサーネットワーク、デジタルツインなど、6Gの新しいユースケースや可能性のあるビジネスチャンスについても詳しく説明している。
5Gまでのワイヤレス技術が帯域幅の拡大、遅延の低減、信頼性の向上といったネットワークパフォーマンスの向上を目指していたのとは異なり、6Gはコンピューティング、AI、接続性、センサー、仮想化などのイノベーションを可能にするプラットフォームと見なされる。6Gはグローバルな受信域、周波数効率の向上、二酸化炭素排出量の削減など、より厳しい要件が設定されている。
レポートは、6Gのビジョンで出現した3つの技術コンバージェンスを特定している。1つ目は6Gネイティブインテリジェンスとして知られる通信とコンピューティングだ。ここではAIがアーキテクチャの不可欠な部分になる。2つ目は電気通信だ。アクセス技術によって個人、機器、インフラ間でシームレスな情報の流れが可能になる。3つ目は仮想空間と物理空間の独特の組み合わせと表現され、メタバースなどの6G対応エコシステムに向けた動きと説明されている。
6Gは開発途上にあり、モバイルインフラの設計をシームレスに融合し、構造的に変更することを目的にコンピューティング、AI、ネットワーク技術の基盤を作成するといわれている。業界は既存のパラダイムを融合させ、6Gの新しいユースケースをエンド・ツー・エンドで確実に提供しなければならないとレポートは注意を促している。
InterDigitalのヘンリー・ティリ氏(CTO:最高技術責任者)は言う。「各世代のワイヤレス技術は通信能力を強化してきた。6Gは利用者、ネットワーク、機器が相互通信する方法に革命を起こすだろう。6Gは物理空間と仮想空間を橋渡しし、運用を最適化すると同時に新しいユースケースを実現する見込みがある」
6G:The Network of Technology Convergenceには、ABI Researchの他の調査「6G Standards and Market Developments」(2021年3月公開)が反映されている。同レポートは、6Gの商用展開は早くても2028年か2029年で、最初の標準技術は2026年ごろと予想している。
5Gのデータレートはピーク時20Gbps、平均ユーザーエクスペリエンスでは120Mbpsを想定していた。6Gでホログラフィック通信やX現実(AR:拡張現実、VR:仮想現実、MR:複合現実)などのアプリケーションをサポートするには、これらをそれぞれ1000Gbpsと1Gbpsに引き上げる必要がある。
人間と機械の対話がリアルタイムであろうとなかろうと、6GでMRやVRを生み出すにはこうしたレート値の引き上げが有望な解決策になるとABI Researchはみている。こうした環境では、極めて広い帯域幅を備えたTHzの通信が重要な役割を果たす。
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