現段階の量子コンピュータには、計算中にノイズが発生するという問題がある。このノイズをいかに除去するか。Algorithmiqは逆転の発想でノイズ問題を解決するという。
現時点の量子コンピュータはNISQ(訳注)の段階にある。NISQは計算中に発生するノイズの影響を受けるので、論理量子ビットごとに多くの物理量子ビットを必要とする。そのため、量子コンピュータが従来型HPC(ハイパフォーマンスコンピューティング)を上回る真に実用的なメリットを実証するのは困難だ。
訳注:Noisy Intermediate-Scale Quantumの略。量子誤り訂正ができない(ノイズの影響を受ける)小中規模(量子ビットが数十~数百程度)の量子コンピュータの総称で、数年~10年以内に実現可能と考えられている。
Algorithmiqは最近、「真にノイズに強い量子アルゴリズム」を実現するために400万ドル(約4億7500万円)を調達した。同社は創薬をターゲットとし、大手製薬会社と協力して量子レベルの正確な分子シミュレーションの開発を目指している。
Algorithmiqには、標準的なコンピュータを使って量子コンピュータの「ノイズを除去」する独自の戦略があるという。同社が開発しているアルゴリズムは、量子コンピュータの化学シミュレーションを100倍高速化する。
Algorithmiqのサブリナ・マニスカルコ氏(共同創設者兼CEO、ヘルシンキ大学量子情報、コンピューティングおよびロジック教授)は、量子コンピュータのノイズを20年にわたって研究してきた。「主な研究分野はノイズの抽出だ。量子の情報は非常に壊れやすい」
「ノイズがあっても作業はできる。可能なことはたくさんある。だが、手を汚さなければならない」(マニスカルコ氏)
Algorithmiqのアプローチは、考え方の転換だ。普遍的なフォールトトレラント量子コンピュータの出現を待つのではなく、「ノイズがある量子機器で開発できるアルゴリズムを探す」。
量子コンピューティングならば各量子ビットを電子にマッピングできるため、量子レベルで分子を正確にシミュレートする可能性をもたらす。これは従来型コンピュータには不可能だ。
Microsoftの「量子コンピューティングの歴史と背景」によると、電子がなり得る状態が40あるとすると、全ての「状態」をモデル化するには2の40乗の構成を用意することになる。この量子状態を従来型コンピュータのメモリに格納するには、130GB以上のメモリが必要になる。状態の数が増えれば、必要なメモリ量は指数関数的に増加する。
このメモリ量は、従来型コンピュータで量子化学シミュレーションを行う場合の制限事項の一つになる。米国の科学雑誌「Scientific American」によると、現在の量子コンピュータは水素化リチウムなど、小分子のエネルギー論と特性のモデル化に着手できる段階だという。
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