「Windows 10」の延長サポート終了が迫る中、改めて考えたいのが「Windows」の過去のバージョンとその移行だ。広く愛されてきたOSである「Windows XP」は、Windows 10と比べてなぜ特別なのか。
MicrosoftのクライアントOS「Windows」の過去のバージョンには、次期バージョンへの移行がすぐに進んだOSもあれば、現行バージョンを使い続ける傾向が顕著だったOSもある。そのWindowsの歴史の中で広く愛されてきたバージョンの一つに、「Windows XP」がある。
「Windows 10」の延長サポート終了を2025年の10月に控える今、押さえておきたいのは歴代Windowsのサポートと移行の実態であり、その中でも際立つWindows XPなのだ。Windows 10までを含めても、なぜWindows XPこそが特別なOSなのか。
2024年4月8日(米国時間)、北米では皆既日食が見られた。この日付に関して注目したいのは皆既日食ではなく、10年前の2014年4月8日に、Windows XPのサポートが終了したことだ。Windows XPのサポート終了によって、エンドポイント管理の一時代が終わりを迎えた。
このとき企業のIT部門は、全PCのOSを「Windows 7」にアップグレードするというゴールに向かって全力で取り組んだ。だが、Windows XPサポート終了までにWindows 7への移行を完了できなかった企業は少なくなかった。
Windows XPのサポートが終了した当時、新OSに移行することが、単なるOSの移行以上のことを意味するとは、一般的には考えられていなかった。IT部門はWindows 7へのアップグレードによってWindows XPという使い慣れたOSを手放さざるを得なくなったが、これと引き換えに、新しいものが台頭しつつあった。Windows XPのサポート終了は、モバイルデバイス管理(MDM)などの手法や技術が、PCを含めたさまさまな従来型デバイスを管理するための標準的な存在として地位を確立する絶好の機会になったのだ。
ただしWindows XPのサポート終了から1年後の2015年にWindows 10が発売になるまで、真の「エンタープライズモビリティー管理」(EMM)は誕生していない。Windows XPのサポートが終了した2014年当時、MDMはモバイル端末の管理に特化しているものがほとんどだった。だがWindows XPからWindows 7への移行を機に、企業は古いやり方を捨てた。それを機に新しい時代が訪れ、エンドポイント管理の既成概念が打ち砕かれることになった。
Windows XPのサポート終了は、2つの動向と時期が重なっている。1つ目は、アプリケーションがWebブラウザで利用するクラウドサービスに移行し始めたこと。2つ目は、ミレニアル世代(1980年代前半から1990年代半ばまでに生まれた世代)を中心に、ITの基本的な知識を持つ労働者が増え始めたことだ。
MicrosoftのOSには、サポートサービスを提供する10年間のサイクルがある。このサイクルは「Windows 2000」で確立され、それ以降のOSでも基本的に引き継がれている。ただしWindows XPは例外で、2001年10月から2014年4月まで、実に12年5カ月に渡ってサポートサービスが提供された。
Windows XPの発売から約18年後、サポート終了から数えると5年後の2019年5月に、Microsoftはランサムウェア(身代金要求型ウイルス)「WannaCry」に対処するためのパッチ(修正プログラム)を提供している。これはサポート終了後も、さまざまな企業や個人ユーザーがWindows XPを使用していことを伝える一例だ。
Windows XP以外のOSのサポート期間は以下の通りとなっている。
企業での利用が他のバージョンに比べて広がらなかった「Windows Vista」と「Windows 8」も、発売から10年以上サポートが提供されている。
次回は、Windows 10から「Windows 11」への移行がどのような状況にあるのかを解説する。
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