有給休暇を無制限にする制度を取り入れる動きがある。この制度の導入に歓喜する従業員はいるはずだ。企業側にはどのようなメリットがあるのか。なぜこの制度が従業員と企業に受け入れられるのか。
「明日どうしても休みたいが、有給休暇の残日数がもうほとんどない……」。そんな心配をせずに、いつでも好きなだけ有給休暇を取得できる仕組みがある。この仕組みは「無制限有給休暇」(UPTO:Unlimited Paid Time Off)と呼ばれ、動画配信サービス運営会社Netflixやマーケティング支援ベンダーHubSpotなどが導入している。
無制限有給休暇を“夢のような制度”だと感じる従業員はいるはずだ。だがこの制度には、従業員にとっても企業にとってもメリットになる幾つかのポイントがあり、企業側としてはこの制度を導入する十分な理由がある。なぜこの制度はうまくいくのか。
従業員の働き方の自由度を高め、ワークライフバランスを向上させる革新的な取り組みが無制限有給休暇だ。この制度がもたらす主なメリットは4つある。
テレワークとオフィスワークを組み合わせる「ハイブリッドワーク」やテレワークの普及に伴い、従業員の都合に応じて勤務時間を調整するという考えも広がりつつある。無制限有給休暇は、こうした新しい仕事との向き合い方に適合する制度だ。
人事労務を専門とする法律事務所Fisher Phillipsのアソシエイトを務めるシェイ・コブ氏は、「従業員は企業からの自律と自由を求めている」と指摘する。「従業員の自律性を高めることが従業員の定着につながる。その結果、人事採用のコストを減らすことができるようになる」(コブ氏)
人事コンサルティング企業Mercerのヘルスケア部門シニアパートナー、リッチ・フュルステンバーグ氏によると、無制限有給休暇は従業員のさまざまなニーズに応えるものだ。
小さな子を抱える従業員や高齢の親を介護する従業員など、企業にはさまざまな事情を抱えながら働いている従業員がいる。このような従業員ごとの事情に合わせて働けるようするための制度として、企業は無制限有給休暇を活用できる。
従業員に無制限有給休暇を与えることは、「自社の従業員は時間を適切に管理できる」という信頼の提示だ。経営陣がこうした信頼を示せば、従業員の士気やエンゲージメントが高まる可能性がある。
「無制限の有給休暇を提供することで、従業員は成熟した人物として企業から信頼されていると感じる」。コンサルティング企業Leadership Circleでグローバル最高執行責任者(COO)を務めるエイミー・フェリックスリース氏はこう説明する。
有給休暇の日数が無制限になれば、人事部門は未消化の有給休暇日数の管理や承認作業をしたりせずに済む。「有休を取得しないと休む権利を失う」といった旨を従業員に通知する業務も不要になる。
次回は、無制限有給休暇の課題をまとめる。
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