「週4日勤務」はなぜ実現しない? 導入に後ろ向きな企業の本音夢の「週休3日制」実現への道【後編】

企業の週4日勤務制勤務導入に向けて、米国の複数の州議会で法案が提出された。導入への機運は高まっているように見えるが、実施には至っていない。週4日勤務制の実施で生じるメリットとデメリットを整理する。

2024年02月26日 05時00分 公開
[Patrick ThibodeauTechTarget]

 企業の週休3日制(週4日勤務制)勤務導入に向けた法案が、米国の複数の州議会に提出されている。2022年2月、カリフォルニア州議員が提出した法案「Assembly Bill 2932」は、500人以上の従業員を雇用する企業に対して、1週間の労働時間を40時間から32時間に削減することを求めるものだ。カリフォルニア商工会議所(California Chamber of Commerce)は同年、Assembly Bill 2932を「ジョブキラーリスト」に加えた。ジョブキラーリストは1997年から毎年同会議所が発表しているもので、経済に悪影響を及ぼすと思われる法案をリスト化したものだ。Assembly Bill 2932をリストに追加した理由は「人件費を大幅に増加させる」からだ。

 2023年4月にはペンシルベニア州議会で法案「HB1065」が、2023年5月にはマサチューセッツ州議会に法案「Bill H.3849」が提出された。この2つの法案は週4日勤務制の導入に加え、自主的に週労働時間を短縮した企業に税額控除を適用する、パイロットプログラムを創設するという案を盛り込んでいる。

パイロットプログラムで「週休3日」は実現できるか

 調査会社Gartnerでアナリストを努めるエミリー・ローズ・マクレー氏は「企業にインセンティブを与え、試行を促す」パイロットプログラムの創設を望ましい取り組みだと指摘する。

 Gartnerが2023年6月に公開した資料「The 4-Day Work Week, Explained」によると、「週4日勤務でも週5日勤務と同じ賃金を得られること」が、求職者に入社を促すインセンティブとして最も影響力があることがわかった。

 人事調査会社Global Workplace Analyticsでプレジデントを務めるケイト・リスター氏は、「税制上の優遇措置を取ることが、州のパイロットプログラムに企業が参加するきっかけになる可能性がある。しかしこうしたプログラムが成功するかは、どう実行するかにかかっている」と同氏は指摘する。

 週4日勤務制を導入する際の問題として、経営層のサポート不足や、顧客サービスの質の低下がある。従業員が休みを取りがちな月曜日や金曜日に、顧客サービスの質が低下しがちだとリスター氏は指摘する。勤務する従業員が「休んでいる人の分まで働かなければならないとプレッシャーを感じる」という問題もある。

 2023年11月、クラウドファンディングプラットフォームを運営するKickstarterの最高戦略責任者(CSO)兼サステナビリティ(持続可能性)部門の責任者を務めるジョン・リーランド氏は、マサチューセッツ州議会公聴会に出席した。同氏は同社が2022年4月から週4日勤務制を導入していることを語った。

 Kickstarterの従業員数は約120人だ。「われわれの業務生産性は上がり、目標達成力も向上した。従業員の定着は、もはや課題ではなくなっている」リーランド氏はこう言う。

 従業員エンゲージメントも向上したとリーランド氏は自身の見解を話す。「『2年後もKickstarterで働いている』と考える従業員が増えている。こうした従業員の割合は以前よりはるかに高くなっている」(リーランド氏)

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