Microsoftは「Windows 11」への移行を推奨しているが、移行に当たっては注意深く作業を進める必要がある。過去のWindows移行でもトラブルになった問題を押さえておこう。
Microsoftは2021年10月にクライアントOS「Windows 11」の提供を開始し、2025年10月に「Windows 10」のサポート終了日を設定している。Windows 11への移行に当たっては、“移行後”に気付きがちな幾つかの問題に注意する必要がある。過去にもトラブルになった問題を含めて押さえておこう。
全てのPCをWindows 11に移行する前に、徹底的にテストをすることが非常に重要だ。テスト中に問題が発生した場合は、移行のスケジュールを延期したり、移行自体を再考したりすることも視野に入れておく必要がある。
筆者がかつて在籍していた会社では「Windows 2000」を導入する計画があった。しかし部門で使用していた特殊用途のハードウェアに対応するデバイスドライバが存在しないことが分かった。事前にドキュメントを確認していた時にその問題が発覚したのだ。それを受けて導入は延期されることとなった。
同様に、「Windows Me」(Me:Millennium Edition)の導入を計画していた時にも問題が発覚した。事前にテストをした結果、システムが非常に不安定になり、頻繁にクラッシュすることが判明したため、導入を断念せざるを得なかった。
別の企業に在籍していた時には、「Windows 95」から「Windows 98」への移行計画があった。テストに使用したPCはWindows 98のシステム要件をどうにか満たせる仕様のものではあったが、テストではシステムの動作が極端に遅くなる事態に陥った。結果として、新しいPCを購入するまで移行を延期することになった。
こうしてWindowsの移行時に何らかの問題が発生することは、決して特別なものではない。例えば「Windows XP」では、アクティベーション(ライセンス認証)の問題が発生した。
Windows 10からWindows 11へとこれから移行しようとしているエンドユーザーや組織のIT担当者は、過去の事例から学ばなければならない。Windowsの移行で必ず問題が発生するわけではないものの、さまざまなトラブルの事例が報告されていることは事実であり、筆者自身が体験したことでもある。もちろん、何の問題もなくスムーズに移行が進む可能性もあるが、それを当てにしてはいけない。
移行後に問題が発生する可能性はゼロではない、と念頭に置いておこう。トラブルを防ぐ最善の方法は、包括的なテストを実施することと、小規模な範囲での試用期間を設けることだ。
次回は、Windowsの移行に伴うシステム要件の問題を中心に考える。
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