Metaも開発する「AI検索」は「Google検索」とは“あれ”が大違いAIで変わる“検索”の常識【後編】

MetaがAI検索エンジンの開発に取り組んでいることが明らかになった。Googleをはじめとした検索エンジンが依然使われる中で、これからAI検索エンジンはどのような存在になるのか。検索エンジンとは何が違うのか。

2024年11月04日 08時00分 公開
[Esther AjaoTechTarget]

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人工知能 | Google | 検索 | 検索エンジン


 「Google」のような検索エンジンがWebで情報を探すためのツールとして依然広く使われる中、AI(人工知能)技術を使ったAI検索エンジンも続々と出てこようとしている。ソーシャルメディア大手のMeta Platforms(以下、Meta)が、AI検索エンジンの開発に取り組んでいることが分かった他、GoogleやOpenAIにも同様の動きがある。AI検索エンジンは、検索エンジンに対してどのような存在になるのか。

「Google検索」と「AI検索」は“あれ”が大違い

 IT関連の情報を扱うメディア「The Information」(Lessin Mediaが運営)が、MetaがAI検索エンジンの開発に取り組んでいることを報じた。同様の取り組みを進めているのはMetaだけではない。

 Googleは「AI Overviews」(AIによる概要)というAI検索機能について、提供地域を100カ国以上に拡大したと2024年10月下旬に発表した。生成AIサービス「ChatGPT」の開発元であるOpenAIは、AI検索エンジン「SearchGPT」の提供を介したことを2024年10月31日(現地時間)に発表した。

 消費者は情報を探す手段としてGoogleではなく、多様な方法に頼るようになっているとForrester Researchのアナリスト、ニキル・ライ氏は指摘する。「その動きは、ChatGPTの人気によって間違いなく加速している」(ライ氏)。生成AIが台頭しているだけではなく、消費者はさまざまなソーシャルメディアから流行の情報などを取り入れるようにもなっており、方法の点でも媒体の点でも多様になっている。

 こうした変化は、Googleの検索広告市場にも影響を及ぼす可能性がある。一部の専門家は、「数年のうちにGoogleの市場シェアが大幅に低下する可能性がある」と予測している。

 Metaが手掛けるAI検索エンジンに関して、調査会社The Futurum Groupのアナリスト、リサ・マーティン氏は「有望な存在だ」とみる。Metaはユーザーが見たくないニュースをフィードで大量に配信することで非難を浴びることがあったが、AI検索エンジンを使えば、ユーザーに「いつ何を見るか」の選択肢を与えることができるからだ。「MetaのAI検索エンジンが実現すれば、ユーザーはこれまで以上にどの情報を見るのかに関する主導権を握れるようになる」(同士)

 AI検索エンジンについては、信頼性の問題が付いて回る。「Googleの方が間違いなく信頼できる」とライ氏は述べる。これはAI検索エンジンを使うに当たっての、従来の検索エンジンとの大きな違いだ。ChatGPTなどの生成AIツールによって情報を取得する手間は減るにしても、回答内容の正しさを確認するためにGoogleで改めて検索する人は少なくないと考えられる。

 こうした信頼性の欠如に関する状況は何を意味するのか。それは「対話型AIの検索市場にはまだ明確な勝者がいない」ということだ。

 ライ氏はGoogleの功績として、情報にランク付けをした点を挙げる。Googleは、検索エンジンによる検索結果のページで、掲載順位にランク付けをする競争において勝利を収めたのだ。「対話型のAI検索エンジンでは、掲載順位という基準で勝負することはできない」(同氏)

エンゲージメントと利益

 MetaはAI検索エンジンを開発することで、エンゲージメント(顧客との関係性)の深化を狙っている可能性もある。Forrester Researchのアナリスト、ニキル・ライ氏は、「MetaのAI検索エンジンはユーザーをサイトにとどめておくための手段になる」と語る。

 AI検索エンジンが収益化にどのようにつながるのかについてはまだ不透明な部分があるが、AI検索エンジンで収益を得ようとしているのはMetaだけではない。AI Overviewsを提供するGoogleも、新興のAI検索エンジンベンダーPerplexityも、SearchGPTを新たに始めるOpenAIも、収益化に関する確立したモデルはまだできていない。

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