Oracleは生成AI技術を自社開発するのではなく、生成AIベンダーのCohere、Meta Platformsと協業し、Oracle製品に組み込む姿勢を見せている。この方針は、ユーザー企業にとってどのようなメリットがあるのか。
テキストや画像などを生成するAI(人工知能)技術「生成AI」が大きな技術トレンドになる中、Oracleはそれらを自社で開発するのではなく、基盤モデルや大規模言語モデル(LLM)を開発する生成AIベンダーと協力する姿勢を示す。新興の生成AIベンダー「Cohere」の技術を自社製品に組み込む他、オープンソースLLM「Llama」を開発するMeta Platformsとも協業している。Oracleの方針は、ユーザー企業にどのようなメリットがあるのか。
Cohereは、2019年設立の生成AIベンダーだ。2023年6月にOracle、NVIDIA、Salesforceの投資部門、Salesforce Venturesなどが投資し、シリーズC(成長拡大段階)投資ラウンドで2億7千万ドルを調達。2024年7月にはシリーズD(投資段階)投資ラウンドで5億ドルを追加で調達し、市場評価額は55億ドルに達した。
Cohereが提供する企業向けのオープンソースLLMは、Oracleのさまざまなデータベース製品に組み込まれている。例えば、OracleはCohereのLLM「Cohere Command R」を、特定業種向けのアプリケーションに活用している。
OracleはMeta Platformsとも協業している。Cohereと同様、LLM「Llama」を、Oracleのクラウドサービス群「Oracle Cloud Infrastructure」(OCI)向けにカスタマイズして提供する。
「われわれは、基盤モデルに関する密接なパートナーシップを築くことを決めた」。Oracleのグレッグ・パブリク氏(AIおよびデータマネジメントサービス、Oracle Cloud Infrastructure担当エグゼクティブバイスプレジデント)は、そのように語る。
パブリク氏は「われわれがパートナーとして求めているのは、高品質な生成AIモデルの開発経験を持つ企業だ。しかしより重要なのは、企業向けアプリケーションに関心がある企業だ」と述べる。同氏はCohereとMeta Platformsのモデルのオープンアーキテクチャを評価している。Oracleが両モデルを活用することで、企業向けアプリケーションに適した基盤モデルを提供しやすくなるという。
「密接なパートナーシップを築くメリットは、基盤モデルのベンダーとともにモデルの進化を追えることだ」とパブリク氏は述べる。
「われわれの役割は、さまざまな業種のユーザー企業の代弁者として、生成AIの開発に関与することだ」とパブリク氏は続ける。そうして「最先端の生成AI技術を、ユーザー企業の想定する用途で使えるように調整する」という。
Oracleは他ベンダーの生成AI技術も提供する方針だと、パブリク氏は説明した。
TechTarget.AI編集部は生成AIなどのサービスを利用し、米国TechTargetの記事を翻訳して国内向けにお届けします。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
本記事は制作段階でChatGPT等の生成系AIサービスを利用していますが、文責は編集部に帰属します。
生成AIを活用して業務や顧客体験の再構築を進める動きが活性化しているが、その多くが、PoCやラボ環境の段階にとどまっている。なぜなら、生成AIの可能性を最大限に引き出すための、インフラのパフォーマンスが不十分だからだ。
昨今のソフトウェア開発では、AIコーディングアシスタントの活用が主流になっている。しかし、最適なコーディングアシストツールは、開発者や企業によって異なるという。導入の際は、どのようなポイントに注意すればよいのか。
生成AIの活用にはデータベースが重要となるが、従来のデータベースは最新テクノロジーに対応できないなどの課題がある。本資料では、データベースをモダナイズし、生成AIを用いてビジネスイノベーションを生み出すための方法を探る。
ビジネスにおいて、検索体験およびその結果の質の向上が重要なテーマとなっている。顧客はもちろん、自社の従業員に対しても、実用的な答えをより迅速に、手間なく入手できる環境の整備が求められている。
登場以来ビジネスへの活用方法が模索されてきた生成AI。近年では業務組み込みにおける具体的な成功例が数多く報告されている。本資料では、5件の生成AI活用事例を交えて、業務に組み込む上での具体的なアプローチを解説する。
ドキュメントから「価値」を引き出す、Acrobat AIアシスタント活用術 (2025/3/28)
広がるIBM i の可能性 生成AIによる基幹システム活用の新たな技術的アプローチ (2025/3/28)
「NVIDIAのGPUは高過ぎる……」と諦める必要はない? GPU調達はこう変わる (2025/3/11)
PoCで終わらせない企業の生成AI活用 有識者が語る、失敗を避けるためのノウハウ (2024/10/18)
生成AIのビジネス利用 すぐに、安全に使うためには? (2024/8/26)
いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは
遠隔のクライアント端末から、サーバにあるデスクトップ環境を利用できる仕組みである仮想デスクトップ(仮想PC画面)は便利だが、仕組みが複雑だ。仮想デスクトップの仕組みを基礎から確認しよう。
「マーケティングオートメーション」 国内売れ筋TOP10(2025年5月)
今週は、マーケティングオートメーション(MA)ツールの売れ筋TOP10を紹介します。
「サイト内検索」&「ライブチャット」売れ筋TOP5(2025年4月)
今週は、サイト内検索ツールとライブチャットの国内売れ筋TOP5をそれぞれ紹介します。
「ECプラットフォーム」売れ筋TOP10(2025年4月)
今週は、ECプラットフォーム製品(ECサイト構築ツール)の国内売れ筋TOP10を紹介します。