イノベーションを促す英国の国家機関Innovate UKが、半導体分野のスケールアップ企業に総額1000万ポンド超の資金を提供する。半導体の成長を促す英国政府の狙いとは。
スマートフォンから医療機器までさまざまなデバイスに搭載され、技術革新やデジタル化を支える存在となってる半導体。世界各国で半導体産業の育成に向けた動きが活発だ。英国では、半導体産業のスケールアップ企業(事業が急成長している企業)が同国政府からの財政支援として1000万ポンド超の資金を確保した。
英国の科学・技術・イノベーション省が2024年9月に発表した内容によれば、同国半導体産業に関連する計16個のプロジェクトが、イノベーションを促進する政府機関Innovate UKが拠出する総額1150万ポンドの資金提供を受ける。半導体産業の成長を支援する政府プロジェクト「2023 National Semiconductor Strategy」の一環として実施されるものだ。
資金援助を受ける企業の一つがグラスゴー大学(The University of Glasgow)からスピンアウトしたVector Photonicsだ。同社は医療機器や量子ディスプレイ(量子ドットを用いるディスプレイ技術)、車のヘッドライトなどに用いられる青色レーザーの性能と費用対効果の向上に取り組んでいる。
Quantum Advanced Solutionsも、今回の資金援助を受ける企業だ。同社はケンブリッジ大学(The University of Cambridge)と組んで、高性能の短波赤外線(SWIR)センサーの開発に取り組んでいる。SWIRセンサーは視覚情報処理の精度向上を目的とした技術で、防衛産業などの重要な任務を担う分野で使われることを想定している。
半導体は日常生活に欠かせない多くの技術を支える重要な要素の一つだ。スマートフォンから手術用のレーザーメスまでさまざまな機器に使われており、半導体市場は今後も拡大する見通しとなっている。
英国で科学・研究・イノベーション担当大臣を務めるパトリック・バランス卿は、次のようにコメントしている。「英国におけるイノベーターを支援することで業界のリーダーを育成すれば、100億ポンドの規模を有する半導体産業がさらに拡大し、経済成長の促進につながるはずだ」
政府が半導体関連のプロジェクトを支援して重要なブレークスルーが達成された場合の期待としてバランス卿は、
などを一例として挙げる。
Innovate UKで電子機器、センサー、フォトニクス分野のイノベーションリーダーを務めるイアン・モシュリン氏によれば、Innovate UKがスケールアップ企業のプロジェクトに資金を拠出し、関与する目的は、半導体に関連するさまざまな可能性に光を当てることだ。「基幹産業のあらゆる領域で半導体が重要な力となることは周知の事実だ」とモシュリン氏は語る。
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