2024年から2025年にかけて、PC市場は一つの転換期にある。「AI PC」の出荷の勢いが増し、「Windows 11」への移行も加速する。PC買い替えを考えるのであれば、これら2つの動向は押さえておくべきだ。
PC市場では2024年、人工知能(AI)技術を導入した「AI PC」が話題をさらった。PCの新規購入や「Windows 11」への移行を検討するのであれば、AI PCは候補の一つになるはずだ。業界関係者の見立てによれば、AI PCは2025年以降にPC市場の中心的な存在になる可能性がある。PC買い替えを考えるのであれば、その背景を押さえておこう。
PC市場の今後をほぼ正確に予測するのは簡単ではない。その中でも確実に言えることは、まずは2025年10月に控えている「Windows 10」のサポート終了が、さまざまなエンドユーザーや企業にとってPC買い替えの大きな動機になるということ。PC買い替えを検討する時点で、入手可能なPCの候補として間違いなくAI PCが選択肢に入るだろう。
2024年に世界各地で開催されたPC関連のイベントで、AI PCはほとんど全ての話題をさらったと言っていい。AI PCは話題性があるだけではない。実際に売れ始めていることは確かで、調査会社Canalysによると、2024年第2四半期にはPC出荷のうち14%をAI PCが占めている。
AI PCの定義はベンダーごとに異なっている場合があるが、共通点として言えるのは、AI機能を処理するためのNPU(ニューラル処理装置)といったAIアクセラレーション機能を備えていることだ。こうしたハードウェアの進化を取り入れることで、AI PCは普通のPCよりもAI機能の処理をパフォーマンスよくこなせる設計になっている。
NPU搭載のようなハードウェア面の進化は、PCの新時代を思わせるにふさわしいものだが、注目すべきはそれだけではない。PC業界は、AI PCの需要を拡大させるソフトウェアの多様化にも力を注いでいる。
PC市場を調査するCanalysでアナリストとして働くキーロン・ジェソップ氏は、「2024年の終わりから2025年にかけてのビッグニュースは、さまざまな種類のAI PCが発売し、多様なソフトウェアが登場していることだ」と語る。AI技術を活用するためのソフトウェア機能を構築する開発者プログラムが大幅に増えているという。今後は独立系ソフトウェアベンダー(ISV)から、さまざまな用途やニーズに応えるための多様なソフトウェアが登場してくると考えられる。
NPUを搭載していることや、MicrosoftのAIアシスタント機能「Microsoft Copilot」(Copilot)との連携などはAI PCを印象付ける要素の一つだと言えるが、AI PCの可能性を最大限に引き出すのであれば、ISVのソフトウェアについて知っておくことが欠かせない。
ハードウェアの進化とAIエコシステムの多様化、そしてWindowsの移行がPC買い替えを強く後押しする存在になる。2020年ごろに購入したテレワーク用のPCが古くなってくることも、買い替えの大きな理由になると考えられる。ジェソップ氏は「今後12〜24カ月で、全世界でおよそ10台中7台がWindows 10からWindows 11に移行するだろう」と語る。
AI PCがPCの販売台数全体に占める割合は確実に増える見込みだという。ジェソップ氏は「PCの販売台数に占めるAI PCの割合は、2025年までに40%に近づき、2026年までには50%の大台に達するだろう」と予測する。
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