次世代Windows機「Copilot+ PC」の真価は“謎のAI機能群”から探るべしCopilot+ PCの仕組み【後編】

AIモデルをPCで稼働させ、多様な機能を実現する「Copilot+ PC」は、Microsoftの新たなAI PCブランドだ。どのような業務に役立つ機能を備えるのか。

2024年10月07日 07時30分 公開
[Robert SheldonTechTarget]

 Microsoftは2024年5月、AI(人工知能)技術関連のタスク(AIワークロード)の処理能力を向上させたPCブランド「Copilot+ PC」を発表した。Copilot+ PCは、テキストや画像を自動生成するAI技術「生成AI」やAIモデルを活用して、業務に役立つさまざまな機能を実現する。どのような機能があるのか。

「Copilot+ PC」の“謎のAI機能群”とは?

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 Copilot+ PCは「Snapdragon X」シリーズをはじめとした、特定の要件を満たすSoC(統合型プロセッサ)を搭載する。それによって、AIワークロードに適した稼働環境を提供し、エンドユーザーの利用体験を向上させる。クラウドサービス群「Microsoft Azure」で稼働するLLM(大規模言語モデル)を利用することも可能だ。そのLLMは、PCで稼働するAIモデルと連動する。

 これらの仕組みによって、Copilot+ PCはAI技術を活用した以下の機能を提供する。

  • Cocreator
    • 「ペイント」で利用可能な、AI技術を利用したアート作品の作成機能。エンドユーザーはスケッチを描いてプロンプト(情報生成のための質問や指示)を入力することで、そのスケッチを洗練させた画像を生成できる。
  • Restyle Image
    • 「フォト」で利用可能な機能。AIアシスタントにプロンプトを入力することで、写真の編集、スタイルの変更、画質の向上が可能になる。
  • Image Creator
    • フォトで利用可能な、AI技術によって画像の生成と微調整を実施する機能。NPUの処理機能を利用する。
  • Live Caption
    • 40種類の言語のライブ音声や録音音声をAI技術で翻訳する機能。
  • Automatic Super Resolution
    • PCが標準で搭載するゲーム群において、映像の細部を損なわずにフレームレートを向上させる機能。
  • Recall
    • エンドユーザーが過去にPCで表示していた画面をスナップショットとして定期的に撮影し、実行していた作業を探し出すことができる機能。
    • 2024年6月時点ではプレビュー状態であり、一般提供前の機能を試用できるプログラム「Windows Insider Program」を通じてのみ利用できる。

Recallに関する懸念

 本来Recallは、Copilot+ PCの発売時に搭載されることになっていた。だがセキュリティとプライバシーの懸念から、MicrosoftはRecallを精査し、アップデートできるまで公式リリースを延期している。セキュリティ研究者などの専門家は、マルウェアがRecallのスナップショットを悪用できる可能性があり、エンドユーザーの機密情報が漏えいする危険性を指摘した。

 アップデートが終われば、エンドユーザーはRecallを細かく制御可能になる見込みだ。フィルターの追加、スナップショットの保存停止などの設定ができるようになる。IT管理者がスナップショットの自動保存を停止させることも可能になるという。MicrosoftはスナップショットをPCにのみ保存するなど、スナップショットの安全性を高める措置も講じる。

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