Broadcomが「SD-WAN」と「SSE」の“接続拠点”を統合する理由とはBroadcomのSD-WAN戦略【後編】

Broadcomは買収した企業のSD-WAN用のPoPとセキュリティ用のPoPの統合を進めている。PoPの統合を進めるとどのようなメリットがあるのか。Broadcomの狙いとは。

2024年10月07日 05時00分 公開
[Antone GonsalvesTechTarget]

 半導体ベンダーBroadcomは「SD-WAN」(ソフトウェア定義WAN)の「VMware VeloCloud SD-WAN」のPoP(Point of Presence:接続拠点)と、セキュリティサービスを提供する「Symantec PoP」の統合を開始したと発表した。Broadcomは2019年にSymantecのエンタープライズセキュリティ事業を、2023年にVMwareを買収している。BroadcomはこれらのPoPを統合することで何を狙っているのか。

SD-WANとSSEの「PoP」を統合する狙いとは

 ネットワークベンダーは、ユーザーのクラウドサービスへのアクセスを高速化するために主要なクラウドサービスベンダーのデータセンター付近にPoPを配置していることがある。セキュリティベンダーも、クラウドサービスを提供するためのPoPを設置していることがある。

 Broadcomは買収したベンダーのPoPを統合する形になる。PoPの統合により、企業がクラウドサービスやSaaS(Software as a Servive)に接続する際のレイテンシ(遅延)の削減が期待できる。

 Broadcomは2024年2月、VMware VeloCloud SD-WANと「Symantec Security Service Edge」の機能を統合した「VMware VeloCloud SASE, secured by Symantec」(以下、Symantec SSE)の提供開始を発表している。これはネットワークとセキュリティの機能を集約する「SASE」(セキュアアクセスサービスエッジ)を単一ベンダーによるクラウドサービスとして提供するものだ。

 Symantec SSEはネットワークよりもセキュリティに重点を置いているようだ。以下のような機能を提供している

  • ゼロトラストネットワークアクセス(ZTNA)
  • セキュアWebゲートウェイ(SWG)
  • サービスとしてのファイアウォール(FWaaS:Firewall as a Service)

 SASEや、SASEのセキュリティ機能を集約した「SSE」(セキュリティサービスエッジ)を単一のベンダーで利用したい企業にとって、「BroadcomのSymantec SSEは選択肢の一つになるだろう」とITコンサルティング会社Enterprise Management Associatesのアナリスト、シャマス・マクギリカディ氏は述べる。

 だがEnterprise Management Associatesの調査は、ほとんどの企業がSD-WANとSSEについて、さまざまなベンダーの製品から最も良いサービスや製品を選択し、その組み合わせでシステムを構築する「ベストオブブリード」のアプローチを取っていることを示しているという。

 ただし、ユーザー企業がいずれは単一ベンダーからSASEを一括で利用することを望むようになるという見方もある。「その見方には同意するが、ユーザー企業はそうした動きをまだ見せていない」(マクギリカディ氏)

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