Broadcomは同社のSD-WANに、新機能として衛星やFWAによって通信する機能を追加した。これらの機能のメリットや、同社の狙いを解説する。
VMwareを2023年に買収したBroadcomは、「SD-WAN」(ソフトウェア定義WAN)の「VMware VeloCloud SD-WAN」に衛星通信機能と無線でインターネット回線に接続する固定無線アクセス(FWA)による通信機能を追加した。SD-WANに衛星通信機能やFWA機能が加わるとどのようなメリットがあるのか。
Broadcomは2024年8月27日(現地時間)に開催したイベント「VMware Explore」にて、SD-WANについて以下の内容を発表した。
これらの製品は、FWA機能と衛星通信機能を新たに搭載した。「これによりBroadcomはSD-WANを、IoT(モノのインターネット)デバイスのネットワーク接続オプションとして提供できる」とITコンサルティング会社Enterprise Management Associatesのアナリスト、シャマス・マクギリカディ氏は語る。
FWAや衛星通信を利用できるようになれば、従来の無線LAN(Wi-Fi)や有線ネットワークを用いた接続より広い範囲のネットワークを相互接続して、SD-WANで統合的に管理できる可能性がある。「SD-WANアプライアンスでFWAや衛星通信を利用できれば、一般的な拠点以外にもさまざまなエッジ展開が可能になる」とマクギリカディ氏は説明する。
「ユーザー企業がエッジAI(人工知能)アプリケーションを導入できるようにすることに注力している」とBroadcomのSoftware-Defined Edge(ソフトウェア定義のエッジ)部門ゼネラルマネジャーを務めるサンジェイ・ウパール氏は述べる。
Broadcomに欠けているのは「衛星通信に準拠したSD-WANアプライアンスの高耐久版だ」とマクギリカディ氏は指摘する。耐環境性能を確保したSD-WANアプライアンスがあれば、石油やガス、農業、航空宇宙といった業種の企業がIoTデバイスを運用する過酷な環境向けの選択肢になる。
ユーザー企業は通常、通信事業者が提供するWANを用いて各拠点を企業ネットワークに接続している。「在宅勤務者が増加し、商業用不動産の空室率が上がっており、SD-WANでブランチオフィスを接続する必要はなくなっている」とマクギリカディ氏は語る。
それでも、SD-WANの利用は増えている。調査会社IDCは、SD-WANインフラ市場は2022年から2027年まで年平均成長率(CRGR)10.1%で増加すると予測している。2027年には市場規模は約75億ドルに達する想定だ。
テレワークの普及に伴い企業の拠点が減少する中で「SD-WANのアプライアンスはインターネットに接続するためのエッジ装置としても利用されるようになってきていると」マクギリカディ氏は分析する。
次回はBroadcomがSD-WANとセキュリティ機能を組み合わせた戦略を解説する。
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