クラウドインフラのリソースを自組織で専有するプライベートクラウドは、構成や運用方を工夫することでコスト効率を改善することができる。プライベートクラウドの基本とコスト効率を改善する方法を紹介する。
クラウドインフラを自社で専有する「プライベートクラウド」は、適切に構成して管理すれば、クラウドインフラを他社と共有して使う「パブリッククラウド」よりもコスト効率が良くなる可能性がある。とはいえ、プライベートクラウドを導入すれば自動的にコスト低減が保証されるわけではない。ユーザー企業は、自社のインフラに合わせてコストを戦略的に管理する必要がある。
プライベートクラウドのコスト効率を高めるにはどうすればいいのか。プライベートクラウドに期待できるメリットと併せて紹介する。
パブリッククラウドでは通常、ユーザー企業はインフラを他のユーザー企業と共有して利用し、利用する分だけの料金を支払う。それに対してプライベートクラウドでは、ユーザー企業はインフラを自社で占有して使うことができる。
プライベートクラウドを利用することで、ユーザー企業は以下を期待できる。
以降で紹介する6個のベストプラクティスに従うことで、プライベートクラウドのコストを最適化できる可能性がある。
プライベートクラウドの投資利益率(ROI)を確保するための第一歩は、可視性を高めることだ。プライベートクラウドのコスト計算は、クラウドインフラの初期コストと継続的な運用経費(OPEX)の両方を考慮する必要があり、難しい場合がある。
コストを計算するために、ユーザー企業が管理すべき支出は以下の通りだ。
これらの費用を継続的に監視することで、企業はプライベートクラウドの支出をより詳細に把握できる。
プライベートクラウドのROIの総額を決定する主な要因は、サーバの使用期間だ。仮に100万ドルを投じてサーバを購入しても2年間しか使用せず、交換するのにさらに100万ドルを支払う場合、サーバは年間50万ドルのコストとなる。これではROIが高いとは言えない。
ハードウェアの耐用年数が過ぎる前に廃棄しないようにすることは、コスト効率を向上させる方法の一つになる。
ハードウェアの寿命を延ばす工夫も重要だ。サーバを適切に冷却することで、過剰な熱が発生する「オーバーヒート」を未然に防ぎ、寿命を延ばせる可能性がある。サーバ内部にあるHDDは故障しやすいが、サーバごと交換しなくてもHDDだけ個別に交換できる。
ただし、ハードウェアを無理に使い続けると、予期せしないタイミングでの故障を招いてしまい、複数のアプリケーションに影響を与える可能性がある。コスト効率を高めたいがために、こうしたリスクを取ってまでハードウェアを使い続けてはいけない。
サーバはその処理負荷に応じて、ホストできるアプリケーションの数が変わる。つまり、サーバへの負荷を抑えるほど、必要なサーバの総数が少なくなり、プライベートクラウド全体のコスト削減につながる。
複数のサーバに通信を分散させるロードバランサーや、「Kubernetes」などのコンテナオーケストレーションツールによって負荷を分散させることができる。Kubernetesには、サーバへの負荷や通信量に応じて、アプリケーションに割り当てる「Pod」(Kubernetesクラスタにおけるアプリケーションの実行単位)を増減させる機能がある。
次回はプライベートクラウドのベストプラクティスの4〜6個目を紹介する。
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