AI系の人材市場において、2025年に需要が高まると予測される職種は何か。具体的な業務内容や、求められるスキルと併せて解説する。
AI(人工知能)技術の発展に伴い、AI系のキャリアに求められる要素も変化している。特に近年は、広範な知識を持つゼネラリストよりも、特定の領域に精通したスペシャリストの需要が強まる傾向があるという。本稿は、2025年に注目を集めるAI関連の職種を10個紹介する。
年収は、求人情報サイトIndeed、LinkedIn、Glassdoorの情報を基に編集部が算出したものだ。
AIプロダクトマネジャーの役割は、一般的なプロダクトマネジャーと多くの共通点がある。どちらもチームをまとめ、製品の開発から市場投入までを推進するリーダーとしての役割を担う。
一方で、WebアプリケーションとAIアプリケーションでは構造や開発プロセスに違いがあるため、求められる知識やスキルも異なる。AIプロダクトマネジャーには、AIアプリケーションの構築に必要なハードウェアやプログラミング言語、データ、アルゴリズムについての知識が求められる。加えて、それらをチームが効率よく活用できるよう準備することも重要な役割だ。
期待される年収は、11万2841ドル(約1600万円)から13万9861ドル(約2000万円)。
AIリサーチサイエンティストとは、新しいAIアルゴリズムや方法の研究と開発を担うコンピュータサイエンティストだ。新しいAIモデルの開発やテストに取り組むだけでなく、他の研究者と協力し、研究論文の執筆や発表、講演活動を実施することも仕事の一部だ。プログラミングもするが、業務全体の一部に過ぎない。
AIリサーチサイエンティストには、コンピュータサイエンス、数学、統計学についての高い専門知識が求められる。そのため、一般的には修士号や博士号の取得が必須とされる。
期待される年収は、13万6000ドル(約1940万円)から22万5000ドル(約3200万円)。
AIモデルの開発や利用においては、データの倫理的な使用が非常に重視される。「責任あるAI」(公平性や透明性、安全性の確保を考慮したAI技術)を保証するためには、専任のスペシャリストが必要だ。企業によってはAI倫理委員会を設置する場合もある。この委員会は、弁護士やエンジニア、倫理専門家、一般市民の代表、ビジネス戦略家など、さまざまな経験と専門知識を持つ人で構成される。
AI倫理スペシャリストは、AIプロジェクトの倫理ガイドラインやポリシーを策定したり、プロジェクトの倫理面のレビューを実施したりする。もし問題があれば、AI倫理委員会に報告することもある。求められるスキルとして、批判的思考力やコミュニケーション能力、AI技術の仕組みや規制に精通していることがある。
期待される年収は、12万ドル(約1700万円)から18万ドル(約2600万円)。
サイバーセキュリティ分野において、AI技術は特にランサムウェア(身代金要求型マルウェア)などの侵入検知の分野で重要な役割を果たしている。一方で、サイバー攻撃者もAI技術を活用している。この分野では、サイバーセキュリティに精通しており、かつAI技術を使いこなせるスペシャリストが必要とされている。
期待される年収は、12万ドル(約1700万円)から20万ドル(約2900万円)。
コンピュータビジョンとは、画像情報から対象の内容を認識して理解するAI技術を指す。物体検出、画像セグメンテーション、顔認識、ジェスチャー認識、風景の理解などがコンピューティングビジョンの例として挙げられる。
コンピュータビジョンエンジニアは、カメラやセンサーを使ってコンピュータに「見る力」を与えるプログラムを開発する。自動運転車や顔認証システムなどがその代表例だ。開発においては、「C++」「Python」などのプログラミング言語、Intel傘下のMobileye Technologiesの視覚センサーなどを扱う。
期待される年収は、12万5000ドル(約1800万円)から22万6000ドル(約3200万円)。
次回は、残りの5つのAI系職種を紹介する。
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