Windowsアプリケーションを含めて企業のシステムに深く根付いたレガシーアプリケーションは、企業の競争力を脅かし、IT担当者の大きな悩みの種になる。企業はどのような課題に向き合う必要があるのか。
企業はかつては最先端だった「レガシーアプリケーション」に依存し続けているものの、今ではそのメリットよりも維持管理の負担の方が大きくなり、悩み始めている。レガシーアプリケーションは現在の技術基準や業務要件には必ずしもそぐわなくなっても、重要な機能を担っていて簡単には廃止できない状況に置かれている。
「モダナイゼーション」(システムの最新化)への圧力が高まる中、企業はレガシーアプリケーションを更新する必要性と、老朽化した既存インフラに起因する技術的および運用面の制約との間で、バランスを取るという課題に直面している。
本稿は「Windowsワークロード」(サーバOS「Windows Server」で稼働するアプリケーションやそれに伴う処理)の最新化を進め、企業が競争力とセキュリティを維持するためにどのような戦略が必要なのかを探る。まずはレガシー化がもたらす課題と、最新化を進める際に直面する障壁を考える。
老朽化したシステムは、多くの場合ビジネスプロセスに深く組み込まれており、IT管理者にさまざまな課題をもたらす。互換性の問題やセキュリティの脆弱(ぜいじゃく)性に始まり、最新のツールとの統合ができない問題まである。そうしてレガシーアプリケーションによって進歩が妨げられれば、企業の革新は抑制される可能性がある。
レガシーアプリケーションとは、既に開発が終了していたり、ベンダーによるサポートが打ち切られていたり、現在のIT環境にそぐわない設計となっていたりする古いソフトウェアやシステムを指す。
こうしたレガシーアプリケーションは、新しいテクノロジーとの互換性に問題を抱えやすく、セキュリティ面でも脆弱性が目立ちやすい。急速に変化するビジネスニーズに対応する上で必要となる新機能や他システムとの統合機能を十分に提供できないこともしばしばだ。それにもかかわらず、これらのソフトウェアやシステムは業務プロセスに深く組み込まれており、多くの企業が依存し続けている。
テクノロジーは急速に進化を続けており、レガシーアプリケーションはその変化に対応し切れずに苦戦している。クラウドコンピューティング、スマートフォンなどのモバイル技術、Webサービス、そしてAIといった新技術の台頭が、システムの前提条件を大きく変えた。
更新されていない古いアプリケーションはすぐに時代遅れになり、新しい機能を使用することができず、場合によっては最新のテクノロジーと互換性がなくなる可能性がある。
カスタムアプリケーションや、特定の業務に特化した専用アプリケーションには、それぞれ独自の課題が付き物だ。そうしたアプリケーションは、ドキュメントが不十分であったり、独自仕様のコードが使われていたりすることがよくあり、修正やデバッグの作業が極めて困難になることがある。こうしたアプリケーション特有の性質は、モダナイゼーションを高コストかつ複雑なプロジェクトに変えてしまい、新しいテクノロジーとの統合作業を一層難しくしてしまう。
従来型システムは、企業の組織文化や日常業務に深く根付いており、その変更や廃止には大きな抵抗が伴う。企業は、業務の中核となるプロセスが中断されるリスクや、システムアップグレードに伴うコスト負担を懸念し、モダナイゼーションに踏み切れずにいることがある。ステークホルダー間で利害が対立すると、意思決定が先延ばしになり、最新化の取り組みが停滞する要因となる。
レガシーアプリケーションの最新化は、急速に変化するIT環境の中で競争力や市場との関係性を維持したい企業にとっては単なる技術的なアップグレードではなく、それを超えた戦略だと言える。
最新化には、アプリケーションを新しい基盤に移し替えるリプラットフォームやクラウド移行に伴うリスク回避、さらには組織内の変化への抵抗といった課題が伴う。とはいえそうした障害も、段階的なアプローチを取り入れることで、リスクを抑えながら着実に乗り越えていくことが可能だ。
WindowsアプリケーションとIT戦略を見直すことは、時代遅れのワークロードを、より安全で効率的な最新のIT資産へと転換させることだ。テクノロジーそのものを維持することではなく、アプリケーションが今後もビジネスニーズに応え続けられるようにすることが最終的な目標となる。
次回はWindowsアプリケーションを最新化するための具体的な方法を探る。
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