AIの普及によって攻撃の巧妙化が進んでいる。AIでどのような手口が可能になるのか。企業はどう対抗できるのか。「AIマルウェア」の種類と対策をまとめている。
AIマルウェアとは、AIを取り入れて攻撃力を高めたマルウェアを指す。従来のマルウェアと異なり、AIマルウェアは自律的に学習し、標的システムの脆弱(ぜいじゃく)性を特定したり、防御策を回避したりするために「腕」を磨いていく。AIマルウェアやAIを使った攻撃手法にはどのような種類があり、どう対抗すればいいのか。
ポリモーフィック型マルウェアは、検出を回避するために構造を継続的に変更する。AIを用いて、検出しにくくした変更コードを作成する。ポリモーフィック型マルウェアの一例は「BlackMamba」だ。セキュリティ専門家によると、BlackMambaはAIベンダーOpenAIの生成AIツール「ChatGPT」をコード作成に使っている。
AIで攻撃力を高めるほか、マルウェアの開発や配信にもAIを取り入れる動きがある。AIを使えば、高度な知識を取得したり時間をかけたりせず、マルウェアを作ることができる。AIが生成したマルウェアによる攻撃は実際に観測されたこともある。例えば、セキュリティベンダーTenableは、DeepSeekの大規模言語モデル(LLM)「DeepSeek-R1」を使って作られたマルウェアによる攻撃を特定しているという。
AIワームは、AIを使用してワームを作って拡散させる仕組みだ。ワームとは、自己複製機能を備えたマルウェアを指す。セキュリティ専門家は、1988年に米国で大きな被害を引き起こした初期ワーム「Morris」にちなんで、「Morris II」と名付けたAIワームを発見している。Morris IIは、外部データを取得してLLMの回答精度を高める手法「RAG」(検索拡張生成)を悪用し、ワームを拡散させる。
ソーシャルエンジニアリングは、人の心理を巧みに操って意図通りの行動をさせる詐欺手法だ。AIを使えば、以下のことが可能になる。
ディープフェイクとは、AIによって写真や動画、音声などを捏造(ねつぞう)し、標的をだます手法だ。例えば、設計事業を手掛ける英国本社のArupが、攻撃者が同社CFO(最高財務責任者)になりすまして送金を指示したディープフェイク攻撃を受け、2500万ドルをだまし取られた。
AIマルウェアに対抗するためには、従来の検出方法が効果を発揮しにくいと考えられるので、以下の防御策を考慮する必要がある。
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