Salesforceは同社の年次イベントで、AIプラットフォーム「Agentforce 360」と「Data 360」、さらにSlack連携AIエージェント群を発表した。Slackとともに、企業の業務効率化とデータ活用の高度化を目指すという。
Salesforceの会長兼CEOであるマーク・ベニオフ氏は、Slack買収以降、同サービスを「Salesforceのインタフェース」「企業のデジタル本社」(Digital HQ)と位置付けてきた。2025年10月14〜16日に米カリフォルニア州で開催された年次イベント「Dreamforce 2025」では、その構想をさらに具体化する形で、AIプラットフォーム「Agentforce 360」やデータ基盤「Data 360」、Slack連携のAIエージェント群を発表した。
Dreamforce 2025でSalesforceは、Slackのアップデートに加え、「Agentforce 360」と「Data 360」を発表した。AI基盤であるAgentforce 360はGoogleの大規模モデル(LLM)「Gemini」を活用しており、自然言語でAIエージェントを構築できる「Agentforce Builder」や決定論的推論機能、音声認識機能を持つ。Agentforce 360を支えるのが、データ基盤であるData 360だ。Data 360は、「Salesforce Data Cloud」や「Salesforce Genie」「Customer 360 Audiences」など、たびたび名称が変更されてきた。
調査会社Constellation Researchのリズ・ミラー氏(バイスプレジデント兼プリンシパルアナリスト)は、Data 360を使えば使う程、AIエージェントはより複雑な課題を解けるようになると説明する。
「Agentforce 360が気の利いた回答をするだけで終わるのか、ビジネスを動かすのかの違いを生む」とミラー氏は語った。
Salesforceは、Slackを単なるメッセージングツールではなく、Salesforceの幅広い機能に自然言語でアクセスできる「作業空間」として強化している。その一環として、以下のAIエージェントが、ユーザーが入力した自然言語の指示に基づいてSalesforceの各機能を呼び出し、指示を処理する。
Agentforceをいち早く導入した企業の1つが、英国のHeathrow Airport(ヒースロー空港)だ。同空港は年間8300万人以上の旅客を扱い、約90カ国、90の航空会社が就航している。2024年6月、同空港はAgentforce 360を使ってAIエージェント「Hallie」を導入した。Hallieは、ナレッジ記事800本を学習済みだ。
Heathrow Airportのピーター・バーンズ氏(マーケティング、デジタル、Eコマース部門ディレクター)によると、Hallieは乗客からの問い合わせを速やかに処理し、従来と比べて約40%も効率的に対応できるようになった。今後は、旅客からの問い合わせに加えて、予約やサービス管理も担う計画だ。
バーンズ氏は次のように話す。「私たちはHallieを、旅行中に誰もが抱く疑問に答える旅客向けエージェントとして立ち上げた。実際には8000万人もの旅客一人ひとりに個別対応するのは不可能だ。しかし、HallieとAgentforce 360のおかげで、パーソナライズされた顧客体験を大規模に提供できるようになった」
こうしたAIエージェントの進化の裏側で、人員削減も進んでいる。Salesforceは他の多くのテクノロジー企業と同様に、従業員の削減を進めている。
Salesforceのパーカー・ハリス氏(共同創業者兼CTO)は、「人間とAIは協働する存在になる」と語る。続けて、「業務の40%はAIが担うようになるだろうが、それは生産性の低下を意味しない。むしろ生産性は上がり、新たな雇用が生まれる」と述べている。
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本記事は制作段階でChatGPT等の生成系AIサービスを利用していますが、文責は編集部に帰属します。
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