IT業界では男女間の意識に大きな差が存在することが、Acronisの調査で浮き彫りになった。キャリアや昇進、家庭との両立など、女性が直面する“見えない壁”の正体と、その解決策に迫る。
IT業界でキャリアを築く女性たちが、目に見えない壁を感じている。データ保護ソフトウェアベンダーAcronis International(以下、Acronis)が2025年10月に発表したグローバル調査レポート「FOMO at Work:The Opportunity Gap Between Men and Women in Tech」は、IT業界における男女間の機会格差という根深い課題を浮き彫りにした。
この調査は米国、英国、スイス、ドイツ、スペイン、イタリア、シンガポール、日本の8カ国で実施され、650人超のIT専門家が回答。世界のIT業界における女性の割合(約29%)を反映する設計となっている。
調査結果で最も注目すべきは、キャリア開発の機会が「男女平等に与えられている」と考える割合が、男性の75%に対し、女性は60%にとどまった点だ。こうしたキャリアへの不安は女性だけのものではないがその深刻さにおいて、男女間には無視できない大きな認識の差が存在する。
この「取り残される不安」は、レポートの原文タイトルでは「FOMO」(Fear of Missing Out:自分だけが周りから取り残されることへの恐れ)と表現されている。レポートが示す男女間のギャップは、昇進や家庭との両立といった、より具体的な場面で顕著になる。「家庭での責任によってキャリアの機会を逃す不安」を感じている女性は52%に上り、男性の42%を10ポイント上回った。
昇進に関しても、男女間で認識に違いがあることが分かった。「昇進のために長時間労働が必要である」と考える女性は67%、男性は56%で、女性が上回った。「サイバーセキュリティ分野への参入を妨げる主な障壁」として「偏見や固定観念」を挙げた女性は41%、男性は33%。「偏見が女性のリーダー職への昇進を妨げる最大の障壁」だと答えた割合は、女性が41%、男性が36%だった。
家庭と仕事のバランスを不安視するかどうかを尋ねる質問でも男女の認識の差が見て取れた。「家庭での責任によってキャリアの機会を逃す不安を感じている」かどうかを尋ねた質問に対する回答の割合は、女性が52%、男性が42%で、女性の方がより強い不安を抱いていることが分かった。
Acronisのアローナ・ゲックラー氏(ビジネスオペレーション担当シニアバイスプレジデント兼チーフオブスタッフ)は、今回の調査結果がIT業界における男女の働き方や体験の違いを明確に示していると考える。その上で、「善意だけでは男女格差は解消できない。企業は偏見と向き合い、リーダーシップ機会を広げ、ワークライフバランスが女性のキャリアを妨げない職場を整えるべきだ」とコメントする。
HDDベンダーSeagate Technologyのエッジストレージ担当シニアバイスプレジデント、メリッサ・バンダ氏も、企業は女性の声にもっと耳を傾ける必要があると主張する。「ロールモデルの可視化とインクルーシブな文化の醸成が、IT業界全体の成長につながる」と同氏は語る。
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本記事は制作段階でChatGPT等の生成系AIサービスを利用していますが、文責は編集部に帰属します。
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