かつてデータ保管用のストレージの主流だったテープは、HDDやSSDが台頭した現代でもさまざまな用途で使われ続けている。コスト面における優位性以外に、どのような理由で使われているのか。
1960年代から1980年代にかけてデータ保管用のストレージの主流だった磁気テープは、HDDやSSDが台頭した現代でも姿を消すことはなく、さまざまな用途で使われ続けている。前編「“SSD全盛期”なのに『テープ』がしぶとく生き残る理由」ではテープのコスト面における優位性を解説したが、テープが使われる理由はそれだけではない。
テープはコストの観点だけではなく、データセキュリティの観点でも評価に値する。クラウドストレージとは異なり、テープの場合、どこにデータが保管されているかを把握できる。テープは厳重に保管している限り、究極の「エアギャップストレージ」(ネットワークから物理的に隔離されたストレージ)といえる。テープドライブが故障しても、データそのものが失われることはほとんどない。
テープが再び注目されるようになった理由の一つは、ランサムウェア攻撃を仕掛ける犯罪集団が企業のバックアップを標的にし始めたことだ。ネットワークから物理的に隔離されたテープには、ランサムウェアは感染できない。さらに「LTO」(リニアテープオープン)などのテープ規格では、専用カートリッジを使用することでWORM(Write Once Read Many:1回書き込み/複数回読み取り)というデータ保護機能を利用でき、マルウェアがバックアップデータを上書きしたり暗号化したりすることは不可能だ。
テープは大量のデータを長期間保存するのに適している。バックアップに次いで一般的なのはアーカイブ用途だ。その他にも、映画作品や科学・医療データの保管などさまざまな用途がある。例えば、欧州原子核研究機構(CERN)は1E(エクサ)Bを超えるデータをテープで保管している。
テープの中でも特にオフサイトに保管されるテープは、究極の「コールドストレージ」だ。コールドストレージとは、アクセス頻度が低いデータを取り扱うストレージを指す。コンプライアンス上の理由、BI(ビジネスインテリジェンス)や人工知能(AI)の活用といった目的からデータを長期間保持する必要がある企業にとって、アーカイブ用途の重要性は高まっている。ハイパースケーラー(データセンター事業者)でさえ、データセンター内でテープを利用している。企業によるテープの活用機会は今後、さらに増加する可能性もある。
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