エンジニア向け求人に基づく調査から、企業にニーズのあるプログラミング言語が明らかになった。企業が最も高い年収を提示する言語や、企業のニーズが高いもののエンジニアの数が少ない「穴場言語」は何か。
エンジニアが習得しているプログラミング言語によって、提示される年収や求人数は大きく異なる。ITエンジニア向け転職・就職サービス「paiza」を運営するpaizaは、「プログラミング言語に関する調査(2025年版)」の結果を公表した。調査は、同社サービスに掲載された求人情報を基に提示年収が高いプログラミング言語や求人数が多いプログラミング言語を算出している。企業にニーズのあるプログラミング言語は何か。
2024年と2025年に「paiza転職」に掲載した企業の求人票に記載された年収をプログラミング言語別に集計した平均提示年収ランキングでは、「Go」が723.9万円を記録して1位となった。「TypeScript」が714.0万円で2位、さらに「Ruby」が689.2万円で3位と続いた(表1)。
GoはGoogleが開発したプログラミング言語で、「Docker」「Kubernetes」などのコンテナ仮想化技術やマイクロサービス開発、Go言語で並行処理を実現する軽量スレッド(プログラムの実行単位)「goroutine」を用いたリアルタイム処理などの用途に利用されている。上位を占める言語は、マイクロサービスやクラウドネイティブな開発に採用される傾向にある。これらのモダンな技術を扱うエンジニアへの需要が、年収水準を押し上げている実態がある。
プログラミング言語別の求人数を集計した「言語別求人比率」のランキングでは、第1位が「JavaScript」の14.4%で、「Java」(13.9%)と「PHP」(11.0%)が続いた(表2)。この3言語が求人シェアの約4割を占めており、長年続く需要を示している。これらの言語は、大規模な基幹システムや既存の企業システム、Webアプリケーションの膨大なコードの保守管理に不可欠なスキルとしての地位を維持している。上位3言語の平均提示年収は、Javaが649.7万円、JavaScriptが664.2万円、PHPが658.5万円だった。
データサイエンスや生成AI関連のバックエンド開発に採用されている「Python」の求人シェアは、PHPに次ぐ10.6%だった。提示年収トップのGoは10位圏外で、paizaは「求人数は少ないが年収は高い」状態にあると指摘する。
paizaは、企業の求人数と求人に対する応募者数の比率から、「企業のニーズは高いが、スキルの保有者が少ない」という特徴を持った「穴場言語」も算出した。穴場言語のランキングは、1位が「Kotlin」、2位が「Swift」、3位がGoだった。KotlinやSwiftは主にモバイルアプリケーション開発に使用されるプログラミング言語で、習得者がメジャーなプログラミング言語と比較して少ない可能性がある。同社は平均提示年収トップのGoが穴場言語に挙がったことについて、膨大なデータを扱うサービス開発(大規模なユーザー数を保有するサービスの開発)に関わる人材の不足を示していると考察している。
エンジニアのキャリア戦略には、GoやTypeScriptなどの現代的なプログラミング言語による年収アップと、JavaやJavaScriptなどの汎用性の高いプログラミング言語による安定性の双方が、重要な選択肢になるようだ。
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