OpenAIは、「GPT 5.2」を基にしたコーディング用モデル「GPT-5.2-Codex」を、有料ChatGPTユーザー向けに提供開始した。従来の同社の「Codex」モデルから何が進化しているのか、説明する。
OpenAIは、2025年12月11日に公開された大規模言語モデル(LLM)「GPT 5.2」をベースにしたコーディング用モデル「GPT-5.2-Codex」を発表した。同社はGPT-5.2-Codexを、実務レベルのソフトウェア開発とセキュリティ対策の実現に適したAIモデルと説明する。
GPT-5.2-Codexは、長期的な作業を支援するコンテキスト圧縮技術や、リファクタリング、コード移行といった大規模なコード変更での性能の向上を実現している。
これらの機能により、コンテキスト(過去の開発履歴に基づく背景情報)を保持したまま、長時間にわたって大規模なリポジトリで作業する能力がより高くなった。開発計画の変更や試行錯誤を伴う複雑なタスクでも、作業の流れを見失うことなく開発を繰り返すことができるようになる。
GPT-5.2-Codexは画像処理性能が強化されており、コーディング中に共有されるスクリーンショットや技術図、チャート、ユーザーインタフェース(UI)画面を正確に解釈する能力を向上させている。ユーザーはこうした技術を、デザインモックをソフトウェアの試作版に迅速に変換させるといった用途に利用できる。
GPT-5.2-Codexは、OpenAIの歴代モデルの中で最も強力なサイバーセキュリティ能力を備えているという。専門レベルのサイバーセキュリティスキルを要する課題を、AIモデルがどの程度の頻度で解決できるかを測定する「Professional Capture-the-Flag」(CTF)で、OpenAIのAIモデル「GPT-5」「GPT-5.2」よりも高い正答率を実現している(図1)。
こうした能力は悪用のリスクを伴うため、AIモデルの機能の潜在的リスクを評価するOpenAI独自のフレームワーク「Preparedness Framework」(準備フレームワーク)に基づいて提供される。
GPT-5.2-Codexのサイバーセキュリティ能力は、現時点でPreparedness Frameworkにおいて最も高い水準は達していない。しかしOpenAIは、将来的にさらに能力が向上する可能性を踏まえ、機能提供の進め方を設計するという。
OpenAIは、2025年12月18日から有料ChatGPTユーザー向けに、GPT-5.2-Codexの提供を開始した。
さらにOpenAIは、招待制の「trusted access」プログラムを試験的に導入していることも明らかにした。このプログラムはサイバーセキュリティの専門家が、生成AIモデルを活用して、最新のセキュリティ対策を実現できるようにすることを目的としている。同プログラムは責任ある脆弱性開示の実績があるサイバーセキュリティ専門家や、セキュリティ対策事業に取り組む組織を対象としており、参加するには審査を通過する必要がある。
このプログラムでは、将来提供する予定のセキュリティ機能や、より機能制限の少ないAIモデルの利用権を提供する。
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