学位より“あの”速さ
学歴はもう見てない? CIOが学位より重視する採用候補者5つのポイント
IT人材不足が続く一方、「学位」ではなく「ポテンシャル評価」へと舵を切っている企業は増えつつある。そのような企業は採用候補者の何を重視しているのか。
従来、大卒資格や有名企業での職歴は、採用候補者の能力を見極める際のフィルターとして機能してきた。しかし、そのフィルターが機能不全に陥っているという指摘がある。ある調査によると、企業の5割以上が「学位要件」を撤廃している。その代わりにCIOが重視し始めているのが、採用候補者のある能力だ。
企業が注視し始めているのはあの能力
採用候補者向けのスキルテストを提供するTestGorillaの調査によると、調査対象者となった企業の53%が2025年に採用候補者の学位要件を撤廃した。これは前年比30%の増加だった。同調査は、2025年4月、英国と米国で勤務する採用決定に関与する個人1084人を対象に実施された。
「学位は基礎を提供するが、専門性の深さや急速に進化する特定役割への適合性を示しにくい」。建設業者RoadSafe Traffic SystemsのCIO、ビンス・ファットーレ氏はこう述べる。同氏は続けて、「企業は実践的スキルをより重視している。そして、自社の運用ニーズや文化に適合した能力を訓練、開発する意欲を強めている」と指摘する。
AIなどの技術発展に応じて役割が進化する中、実生活のスキルで適応力と回復力を証明した採用候補者が、採用担当者にとって魅力的になっているという見方もある。
「AIは、組織が人材を評価、思考する方法を根本的に変えている」。人材会社Criteria CorpのCTOクリストファー・ダデン氏はこう述べる。「採用はもはや経験やハードスキルだけではなく、感情知能、適応意欲、批判的思考力、AIと効果的に連携する能力を重視する場だ」
AIに精通し、適応力を持つことが採用候補者にとって不可欠の要素となり、採用の意思決定に影響を与えるという指摘もある。LinkedInの調査部門LinkedIn Economic Graphによると、「採用時、採用候補者が実際に身に付けているスキルを重視することで、AI関連職種の採用候補者規模は世界的に8.2倍に拡大する」という。
ダデン氏は、「従来型の選考基準を緩和することで、従来のキャリアパスをたどらなかったものの、業務に実測可能な価値をもたらすポテンシャルを持つ採用候補者にアクセスしやすくなる」と指摘する。
「学位が高ければよい」という見方は捨てるべき?
学位を選考基準としない企業の動きがあることが分かった。一方学位は、新卒社員の採用では有効だ。学位が依然として重要な産業は以下の通りだ。
- 製品やシステムの安全性認証を扱うエンジニア業務
- 公務員や公的機関のIT部門
- 医療情報システムの構築や運用
- 法務や金融業界で法規制順守を担う役割
採用候補者を評価する新しい方法
学位よりもスキルを重視する動きがある中で、人材を採用するCIOは採用候補者の何を見ればいいのか。
「その採用候補者のポテンシャルは、課題への取り組み方、コミュニケーション、レジリエンスの示し方に表れることが多い」。人材サービス企業The Planet Groupの最高人事責任者キャスリーン・ベーグ氏はこう述べる。
ベーグ氏は、採用担当者やCIOに以下に関する質問を投げ掛けるよう薦めている。
- 習得している技術やスキル。
- その技術やスキルは役職に適合しているか。
- 関わった案件や自身がマネジメントした案件。
- 急速に変化する技術をキャッチアップする方法。
- 自分の得意分野以外で専門性を培うために取り組んでいること。
「スキルは教えられる。ただ、最も重要なのは好奇心、適応力、役割への情熱だ」。ファットーレ氏はこう述べる。
マイクロクレデンシャルの活用
ある特定の学問の習得を、学士号や修士号といった大きな単位で認証するのではなく、学問を細分化し、学んだ特定のスキルや知識をより小さな単位で認証する考え方がマイクロクレデンシャルだ。
マイクロクレデンシャルは、蓄積しても学位の取得には結び付かないが、働きながら継続的に学ぶ機会として有用だ。ベーグ氏は、「マイクロクレデンシャルは採用候補者を強化するツールとなりつつある。採用候補者が自己投資し、最新のスキルや技術をキャッチアップしていることを示すことができるからだ」と述べる。
ダデン氏も、マイクロクレデンシャルへの取り組み状況から「その採用候補者の肯定的な人物像を推し量ることができる」と指摘する。ただし、マイクロクレデンシャルへの取り組み状況単独で判断することは難しい。スキルテスト、面接など体系的な評価の一部として活用するよう言い添える。
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