DXが進まない原因は現場のスキル不足ではなく、9割の企業に巣くうレガシーシステムにあることが明らかになった。データ活用を物理的に阻害する「連携の壁」の実態と、経営層の理解を得るための処方箋を提示する。
「デジタルトランスフォーメーション(DX)が進まないのは、IT人材が不足しているからだ」――。経営会議でそう嘆く役員に対し、情報システム部門の管理者は心の中でこう思うはずだ。「人はいます。動けないだけです」と。
経済産業省が2018年に「DX推進ガイドライン」を発表して以来、日本企業はDXへの取り組みを加速させてきた。しかし、その実行部隊である情報システム部門の現場には、依然として数々の障壁が存在するのが実情だ。
システムインテグレーターのNTTデータビジネスブレインズは、こうした現場の実態を明らかにするため、全国の情報システム部門管理職221人を対象として、2025年10月6〜7日にアンケート調査を実施した。その結果、調査対象者の6割以上が「DX人材の量は充足している」と答えた。
「人が足りているなら、なぜ成果が出ないのか」。この問いに対して調査結果が示唆する答えとして、本稿は情報システム部門が直面する「3つの壁」に加え、課題と現状の間にあるギャップを解説する。
まず注目したいのが「人材」に関するデータだ。調査では、DX推進人材について「量的に充足している」と回答した企業は66.2%、「質的に充足している」も66.6%に達した。一般的な「日本はIT人材不足だ」という論調に反する結果に見える。
しかし、これは「業務効率化」といった限定的なDX目標に対する充足感を示している可能性がある。全社的なデータ活用を阻害する要因を聞いたところ、「データの品質が低い/整備されていない」(44.3%)というデータ活用の根本的な課題に次いで、「データを分析するスキルを持つ人材がいない」と回答した人が40.7%に上った。高度な専門スキルを持つ人材は依然として不足している実態がある。
次に「システム」の課題だ。回答者が所属する企業の実に91.9%がレガシーシステムを抱えており、その最大の問題点として過半数の55.7%が「他システムとのデータ連携が困難」であることを挙げた。次いで「セキュリティの脆弱(ぜいじゃく)性のリスク」(40.9%)、「ビジネスの変化に迅速に順応できない」(39.4%)が続く。レガシーシステムがデータのサイロ化(部門ごとの分断)を招き、全社的なデータ活用と迅速な意思決定を物理的に阻害している構図だ。
第3の壁は「組織文化」だ。約8割の回答者が、自社の「縦割り意識」や「部門最適」の考え方がDXの障壁になっていると感じている。新しいツール導入時に他部署から抵抗感を示されることが「頻繁にある」「時々ある」と回答した人の割合は合計で8割を超えた。これは単なる変化への拒絶だけではなく、現場の実態に合わないツール導入に対する反発や部門間の利害調整の難しさが背景にあると考えられる。
さらに深刻なのが経営層との意識のずれだ。現場が直面する技術的な課題について、経営層が「十分に理解している」と回答したのはわずか21.3%にとどまった。経営層が描く戦略と、技術的負債や縦割り構造に苦しむ情報システム部門の実態には乖離(かいり)があり、これが無理なプロジェクト進行や現場の疲弊につながるリスクをはらんでいる。
本調査は、DXを成功させるためには、ツールの導入だけではなく、レガシーシステムの刷新によるデータ基盤の整備、専門人材の育成、部門を超えた協力体制の構築という、複合的なアプローチが不可欠であることを示唆している。
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本記事は制作段階でChatGPT等の生成系AIサービスを利用していますが、文責は編集部に帰属します。
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