138店舗の「温度巡回」が消える日 ベイシアを動かした“人手不足の限界”1日2回の点検という重荷

小売業に課せられている「厳格な温度管理」。人手不足に喘ぐ現場で、150台もの温度計を巡回するアナログ運用はもはや限界だ。ベイシアが決断したIoT導入の裏側を読み解く。

2026年02月27日 12時15分 公開
[CaseHub.NewsTechTargetジャパン]

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富士通 | IoT(Internet of Things)


 ベイシアは、店舗内にある冷蔵・冷凍設備の温度管理を自動化するため、富士通のIoT可視化ソリューション「Advanced Operation & Management」を採用した。2026年2月25日、富士通が発表した。2025年12月から順次運用を開始しており、2026年5月までに全138店舗への導入を完了させる計画だ。HACCP(食品の衛生管理手法)対応業務の効率化と商品鮮度の管理強化により、食品ロスの削減を目指す。

富士通のIoTツールで何ができるのか

 ベイシアは、群馬県前橋市に本部を置くスーパーマーケットチェーン。食品衛生法の改正により、すべての食品関連事業者に食品衛生管理の国際基準であるHACCPに沿った管理が義務化されたことを受け、小売業界では厳格な温度管理の徹底が求められている。

 同社ではこれまで、1店舗あたり平均150台ある冷蔵・冷凍設備の温度計を、従業員が1日2回巡回して手作業で記録していた。深刻な人手不足が課題となる中で、点検・記録業務の負担軽減と、商品鮮度に直結する温度管理のさらなる高度化が喫緊の課題となっていた。

 こうした背景から、ベイシアは温度情報の取得と管理を自動化するソリューションの検討を開始。本導入に先立ち「ベイシア Foods Park 高崎倉賀野店」で実施した実機検証において、正確なデータ取得と作業効率化の効果が確認できたため、全店舗への展開を決定した。

 採用されたAdvanced Operation & Managementは、富士通の事業モデル「Uvance」が提供するオファリングの一つだ。既存の設備にIoTセンサーを装着するだけでリアルタイムのデータ抽出と可視化が可能になる。ハードウェアの種類に依存せず導入できるため、既存資産を活用しながら迅速に運用を開始できる点が特長だ。

写真 IoT可視化ソリューションの概要(提供:富士通)《クリックで拡大》

 今回の導入により、店舗内各所の冷蔵・冷凍設備から温度情報が自動的に収集される。従業員は手作業による巡回点検から解放され、作業負担が軽減される。また、設定した閾値を超えた異常を検知した際には、店舗運営のコミュニケーションツールを通じて即座にアラートが通知される仕組みを構築した。これにより、異常発生時の初動対応を迅速化し、商品の鮮度維持と廃棄ロスの抑制につなげる。

 さらに、各店舗のデータは本部のダッシュボードでもリアルタイムに把握できる。複数店舗の情報を一元管理することで、店舗運営全体の最適化を支援する体制も整えた。

 今後、ベイシアは全店舗で合計約1万9000個のIoTセンサーを運用し、全社的な業務効率化と品質管理の強化を推進する方針だ。富士通は今回の導入で得た知見を生かし、データとAIによる店舗のデジタル化を推進することで、流通業界の労働生産性向上と持続可能な店舗運営を支援していく。

(※)この記事は本多和幸氏と谷川耕一氏によるIT事例メディア「CaseHub.News」に掲載された「ベイシア、冷蔵設備の温度管理を自動化 138全店で作業負担軽減と食品ロス削減へ」(2026年2月26日)を、TechTargetジャパン編集部で一部編集し、転載したものです。

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