仕様抽出時間96%減 AIが「ブラックボックス化」したメインフレームを救う日AIで“爆速”モダナイゼーション

稼働し続けてきたメインフレームはシステム改修のたびに複雑化し、企業にとって深刻な技術的負債となる。膨大な時間と労力がかかる移行作業に、AWSの「AWS Transform」「Kiro」はどう役立つのか。

2026年04月10日 05時00分 公開
[TechTargetジャパン]

 企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)を阻む大きな壁として、メインフレームで稼働するレガシーシステムの存在がある。改修が重ねられ続けたシステムは、当時の開発者が既に退職しているケースや、仕様書が存在しないブラックボックスと化しているケースがある。その結果、システムのクラウド移行や機能追加において、既存ソースコードの解読に膨大な時間が割かれているのが実情だ。

 こうした課題に対し、Amazon Web Services(AWS)は自律的に動作する「AIエージェント」を活用したメインフレームの移行支援アプローチを展開している。既存システムのビジネスプロセスを根本から見直し、クラウドネイティブなシステムに再構築する手法において、AIツールがソースコードの解析から設計、テストコードの生成までを担う。この仕組みを導入したブラジルの大手銀行Itau Unibancoは、試験的な移行プロジェクトにおいて、従来の手法に比べて仕様抽出にかかる時間を96%削減した。

 巨大企業は、属人化したレガシーシステムのソースコードをAIツールでどう読み解き、圧倒的な生産性向上を実現したのか。2つの事例を紹介する。

仕様書がないレガシーコードからビジネスルールを抽出する方法

 メインフレームの移行において、既存のソースコードをそのまま移すのではなく、現代の市場要求に合わせてアーキテクチャごと再構築する手法はメリットが大きい。AWSが開催した年次イベント「AWS re:Invent 2025」のセッション「Reimagine mainframe workloads at speed with agentic AI - ft Itau & ADP」でも言及された通り、現場ではエンジニアが膨大な時間をかけて古いソースコードを読み解き、手作業で仕様を抽出しているのが実情だ。

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 この知識不足の課題を解決するのが、AIエージェントによるソースコードの自動変換サービス「AWS Transform」と、AI開発アシスタントである「Kiro」の組み合わせだ。

 Itau Unibancoはモダナイゼーションのプロジェクトにおいて、古いソースコードの依存関係やビジネスルールを発見し、内容を理解するために、エンジニアリングチームの作業時間の50%を費やしていた。約6万行、107個のバッチジョブに対する試験プロジェクトでAWS Transformを導入したところ、劇的な変化が起きた。同社のメインフレーム戦略責任者であるダグラス・サントス氏は、「ソースコードを1行ずつ追うのではなく、ビジネスの文脈に沿ってルールを抽出できる点が画期的だった」と評価する。同社はAWS Transformによって、仕様抽出にかかる時間を96%削減することに成功した。

仕様書から最新コードとテストを自動生成

 抽出された仕様は、新しいシステムを作り上げるKiroに引き継がれる。Kiroは提示された要件定義や画面フローなどの仕様に基づき、新しいプログラミング言語でのソースコード生成や、クラウドサービス向けのインフラ構築コードを自動的に生成する。Itau Unibancoはこのソースコード生成の工程においても作業時間を82%削減している。

 テストの自動化での効果検証も重要だ。レガシーシステムの移行において、新システムが旧システムと全く同じビジネスルールで動作することを保証するのは難しい。Kiroは抽出されたルールに基づくテストケースやテストスクリプトを自動生成し、品質を確保できる。Itau Unibancoは、従来20%にとどまっていたテスト網羅率を20%から80%まで引き上げ、テスト作成にかかる労力を97%削減し、速度を75%向上させた。

小さく始め、巨大な目標へ

 人事・給与計算サービス大手のADPも、同セッションにてミッションクリティカルな税務システムのモダナイゼーション事例を語った。

 ADPのシステムは1200万以上のジョブを抱えており、法改正に伴う迅速なルール変更が求められる。同社のプロダクト開発担当バイスプレジデントであるアヌラダ・バルマ氏は、「巨大なシステムを一括で移行するのではなく、小さなモジュール単位に分割して徐々に再構築するアプローチを採っている」と語る。同社は214個のレガシープログラムから8000件のビジネスルールを抽出し、専門知識を持つ担当者の負担を大幅に軽減しながら、開発効率を2倍に高めた。


 Itau Unibancoが2028年までの「100%クラウド化」を掲げるように、AIツールによるソースコードの可視化と自動生成は、日本企業にとってもこれまで悩まされてきたレガシーシステムの呪縛を断ち切り、新たな競争力を生み出すシステム作りの要になりつつある。

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本記事は制作段階でChatGPT等の生成系AIサービスを利用していますが、文責は編集部に帰属します。

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