PwCコンサルティングとSAPジャパンは、東京ガスがクラウド型管理会計プラットフォーム「Athena」の本稼働を開始したと発表した。手作業や表計算ソフトによる非効率な業務プロセスの刷新を目的としている。
東京ガスは、グループ全体のスタッフ業務改革の一環として、クラウド型の管理会計プラットフォーム「Athena」を構築し、本稼働を開始した。PwCコンサルティングとSAPジャパンが2026年6月23日に発表した。SAPの「SAP Analytics Cloud」を基盤に、予算、実績、見通しデータを一元管理し、表計算ソフトに依存していた管理会計業務の効率化を進める。
東京ガスグループは、2023〜2025年度中期経営計画で「稼ぐ力」の向上を掲げ、その一環として「生産性倍増」「間接業務40〜50%削減」を推進してきた。だが従来の管理会計業務では、多くの関係者が手作業でデータを集計し、複雑な表計算ソフトを介して部門間でデータを受け渡す運用が残っていた。
表計算ソフトは柔軟に使える一方で、関係者や事業部門が増えるほど、ファイルの分散、版管理の煩雑化、入力ミス、集計待ちといった問題を招きやすい。予算編成や実績管理、将来見通しの作成では、各部門から集めたデータを確認し、加工し、再集計する作業が発生する。こうした運用は、管理会計のスピードを落とすだけでなく、経営判断に使うデータの鮮度や精度にも影響する。
東京ガスはこうした課題を解消するため、管理会計業務のプロセスを抜本的に見直し、SAP Analytics Cloudを基盤とするAthenaを構築した。選定に当たっては、柔軟な計画立案や分析が可能な点に加え、先行して導入していた経理基幹システム「NOAH」との連携性を評価した。NOAHは、既存基幹システムのクラウド移行とモダナイゼーションを支援する「RISE with SAP」の取り組みを通じて導入されたシステムである。
AthenaはNOAHと連携し、予算、実績、見通しデータを一元的に管理する。これにより、従来は表計算ソフトを介して部門間で受け渡していたデータを、共通の管理会計基盤上で扱えるようにした。手作業による集計や確認作業を整理し、管理会計プロセス全体の簡素化と整流化を図る狙いだ。
システム構築では、PwCコンサルティングが国内におけるSAP Analytics Cloudの導入支援実績や、予算制度改革で培った方法論を基に、管理会計データプラットフォームの構築と業務プロセス改革を支援した。SAPジャパンは、SAP Analytics CloudをはじめとするSAPのテクノロジーを通じて、計画、分析、予測業務の高度化を支援した。
2025年12月にはPhase 1として、都市ガス事業の予算編成に関わるシステムが本稼働を開始した。稼働後も安定した運用を継続しているという。今後はAthenaの機能拡充を進め、Phase 2では電力事業やソリューション事業にも展開する予定だ。
東京ガスグループは将来的に、事業ポートフォリオマネジメントの最適化、ROIC(投下資本利益率)を用いた経営管理の高度化、資本構成の最適化にも取り組む。表計算ソフト中心の管理会計から脱却し、予算、実績、見通しを同じ基盤で扱えるようにすることで、データに基づく迅速な経営判断につなげる考えだ。
(※)この記事は本多和幸氏と谷川耕一氏によるIT事例メディア「CaseHub.News」に掲載された「東京ガス、管理会計基盤で手作業を廃止 予算と実績を一元化し意思決定を高度化」(2026年6月24日)を、TechTargetジャパン編集部で一部編集し、転載したものです。
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