東急リバブルがkintoneで成し遂げた脱Excel 依頼倍増でも“負担増なし”を実現営業の“心理的ハードル”をどう下げる?

東急リバブルは、不動産の売却保証額シミュレーターをMicrosoft Excelからkintoneに移行し、審査依頼件数を約2倍に引き上げた。営業担当者の心理的ハードルを下げ、後工程の業務負担も軽減した手法とは。

2026年06月22日 05時00分 公開
[TechTargetジャパン]

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 不動産取引において、買い換え時の「売れないと買えない」という不安を解消する売却保証は、他社との差異化につながる重要なサービスだ。しかし、東急リバブルではその利用率の伸び悩みが課題となっていた。

 利用を阻んでいたのは、煩雑な審査フローとシミュレーション精度の低さだ。営業担当者が「Microsoft Excel」で審査調書を作成して営業推進課へ依頼し、承認を経るまでに平均5日を要していた。複雑な計算式を用いた試算結果が実勢価格と1割以上懸け離れているケースもあり、営業担当者が試算結果を信頼しにくい状況にあった。

 これらの課題を解決するため、東急リバブルはアールスリーインスティテュートの支援を受け、ノーコード開発ツール「kintone」を活用した「売却保証額 簡易シミュレーター」を構築した。結果として、審査依頼件数は導入前の59件から着地見込み110件と約2倍に増加し、新たに設けられた試算機能の利用数は200件を超えた。依頼件数が倍増したにもかかわらず、後工程を担う部門の労働時間は増えていないという。

 複雑な計算式を解き明かし、実勢価格に近い高精度なシミュレーターをいかにして実現したのか。その開発の裏側と、業務プロセス見直しの要点に迫る。

脱Excelで「食わず嫌い」を解消

 東急リバブルにおけるシステム刷新のきっかけは、過去の開発実績への信頼が土台となっている。事業開発課において、不動産の価格を素早く回答するアプリ「スピードアンサー」をアールスリーインスティテュートに開発依頼した経緯があり、売却保証における審査課題も同様の手法で解決できるのではないかと考えたことが出発点だ。既存の計算式を開示し、「実現可能である」との回答を得てプロジェクトが本格的に始動した。

 従来、東急リバブルの営業担当者は、顧客が実際に売却保証を利用するかどうかが不明な案件も含め、全ての調書について営業推進課に確認と承認を依頼していた。営業担当者にとっては、「審査依頼=面倒な手続き」という意識が先行し、売却保証が提案の選択肢から外されてしまう「食わず嫌い」状態が続いていた。一方、審査を受け付ける営業推進課にとっても、「取りあえず参考までに金額を知りたい」という熱量の低い案件まで書類をそろえて審査に回す必要があり、担当者間のやりとりが煩雑で多大な手間が発生していた。

 新たに構築された売却保証額 簡易シミュレーターは、土地、戸建、マンションといった対象物件の種別や、査定金額、延べ床面積などの指標を入力するだけで、売却保証サービスの対象であるか否かを判定し、売却保証額を即時に試算する。背後では社内基準や概算のリフォーム費用など、複数の条件を踏まえた計算ロジックが実行され、目的の物件にどの社内基準が適用されたかどうかといった、後工程の審査に必要な情報も把握できるようになっている。

 試算後、正式に審査を希望する場合は、入力データを基にして「売却保証適用審査調書」がPDF形式で自動生成され、それをメールに添付して営業推進課に審査依頼を行うフローへと変更された。これによって、営業担当者は現場で即座に概算額を提示し、仲介と売却保証を比較検討した上で顧客に最適なプランを提案することが可能になった。この手軽さが営業担当者の心理的ハードルを大きく下げ、審査依頼件数の倍増と試算数の増加に直結している。

データベース連携による試算精度の抜本的改善

 システム構築において最大の難関となったのは、試算精度の抜本的な改善だ。従来システムが実勢価格から1割以上も乖離してしまっていた原因を特定するため、アールスリーインスティテュートの開発チームは既存の複雑な計算式を一つ一つ解析した。

 その結果、「ある費用の算定ロジック」において、参照している項目におおよその値が入っていたことが、現実との大きなギャップを生む要因であることが判明した。この問題を解決するため、東急リバブルが別のプロジェクトで利用していたデータベースを今回のシステムに応用した。変動性の高い特定の費用について、目安の数字に頼るのではなく実際のデータベースと連携させることで、物件の広さや立地に即した妥当な金額を導き出せるようになり、現実値に近い試算を実現した。

フローの見直しで審査部門の労働時間を維持

 システムの刷新は現場の入力業務だけでなく、後工程を担う営業推進課の審査業務にも大きな変革をもたらした。

 アプリケーション化に伴い、日付や曜日などが自動入力される仕組みとなり、入力ミスが劇的に減少した。これによって、営業推進課がチェックすべき箇所が減り、差し戻しのやりとりに伴う精神的なストレスや負担がかなり軽減され、処理スピードも向上した。

 システムの導入と併せて業務プロセスそのものの見直しも断行している。提出が求められる資料や確認項目を必要最小限に絞り込んだことで、1件当たりの処理時間を大幅に短縮した。また、営業担当者が自身で簡単に試算できるようになったため、営業推進課に持ち込まれる「参考レベル」の案件が減り、より重要な案件に集中できるようになった。これらの工夫によって、依頼件数が以前の約2倍に増えても労働時間が増えた感覚はないと、現場の担当者は評価する。

 本事例は、単に既存の表計算ソフトウェアをシステムに置き換えるだけでなく、計算ロジックの解体と精度向上、業務プロセスの最適化を並行して進めた点が特徴だ。東急リバブルは今後も、現場のオペレーションに即したシステムの活用を通じて、企業の収益向上と顧客サービスのさらなる強化を目指す。

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本記事は制作段階でChatGPT等の生成系AIサービスを利用していますが、文責は編集部に帰属します。

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