世界で最も多く出荷されたRISCプロセッサMIPSのサバイバル戦略組み込み向け半導体最新動向:MIPSプロセッサ

1990年代半ば、組み込み向けプロセッサの出荷台数トップの座を獲得したMIPS。当初はワークステーション用CPUだったことをご存じだろうか? 今回は、MIPSの変遷と今後の戦略について紹介する。

2008年11月26日 08時30分 公開
[大原雄介]

 1997年、MIPS(Microprocessor without Interlocked Pipeline Stages)ベースのCPUの出荷個数がMotorola製CPU「68000」系を抜き、世界で最も利用されている組み込み向けプロセッサの座を獲得した。MIPSプロセッサはデジタルTVやDVDレコーダー、ネットワーク機器、プリンタなどの組み込み機器で広く利用されている。身近な例としては、米MIPS Technologiesの「R4000」コアプロセッサを2つ内蔵した、ソニーの携帯ゲーム端末「PSP(プレイステーションポータブル)」が挙げられる。

 今回は、前回の「ARMアーキテクチャはどのように進化してきたのか?」に続き、長らく組み込み向けプロセッサとして利用されているMIPSアーキテクチャを取り上げる。

RISCプロセッサの代表格、MIPSプロセッサ

 まずは、MIPSアーキテクチャの誕生からこれまでの変遷を振り返ってみよう。MIPSの開発は、現在のStanford大学の経営責任者であるジョン・L・ヘネシー(John L. Hennessy)博士が率いて1981年から開始された「MIPSプロジェクト」に起因する。

 1980年代といえば、CISC対RISCの性能論争が激しく行われていた時期で、ヘネシー氏が1984年に設立した米MIPS Computer Systemsが製造した「R2000」やその後継製品「R3000」が代表的なRISCプロセッサとして広く利用された。しかし、R2000、R3000のどちらも、RISCということ以外に特別なアドバンテージがあったわけではなく、アーキテクチャは単純なものだった。また、当時の主なターゲットはワークステーション市場で、特にR3000は多くのメーカーのワークステーションに幅広く利用されていた。

関連ホワイトペーパー

組み込み | 32ビット | ARM | x86 | ワークステーション | 64ビット


ITmedia マーケティング新着記事

news079.jpg

狙うは「銀髪経済」 中国でアクティブシニア事業を展開する企業とマイクロアドが合弁会社を設立
マイクロアドは中国の上海東犁と合弁会社を設立。中国ビジネスの拡大を狙う日本企業のプ...

news068.jpg

社会人1年目と2年目の意識調査2024 「出世したいと思わない」社会人1年生は44%、2年生は53%
ソニー生命保険が毎年実施している「社会人1年目と2年目の意識調査」の2024年版の結果です。

news202.jpg

KARTEに欲しい機能をAIの支援の下で開発 プレイドが「KARTE Craft」の一般提供を開始
サーバレスでKARTEに欲しい機能を、AIの支援の下で開発できる。